第6話 真実の解明

香織と涼介は、美咲が隠している証拠を見つけ出すために、湯布院の霧の中で緻密な調査を続けていた。霧が銀色のベールのように町を包み込み、まるで真実が隠されているかのように感じられた。


香織は美咲の日記と証言を再度見直し、事件当日の詳細を頭の中で再構築する。日記には書かれていない部分が多く、そこに美咲の隠された感情と行動が潜んでいることを確信した。


「涼介、私たちが見逃していた手がかりがあるはず。美咲が何かを隠していることは間違いないわ」と香織は決意を新たにした。


涼介もまた、香織の言葉に同意し、二人で新たな調査計画を立てた。「彼女の行動をもう一度追ってみよう。きっと重要な証拠が見つかるはずだ。」


二人は美咲がよく訪れていたという古い書店に向かった。そこには、内山との思い出が詰まった本が多数あり、美咲の感情が表現されていると感じた。書店の中は、古い紙の匂いが漂い、落ち着いた雰囲気が広がっていた。


「ここに何か手がかりがあるかもしれない」と香織は慎重に本棚を調べ始めた。涼介も一緒に本を一冊ずつ確認していく。


やがて、香織は一冊の古い本の中から、隠された手紙を見つけた。その手紙には、美咲が内山との関係をどのように見ていたか、そして事件当日に何が起こったのかが詳しく記されていた。


「これだわ、涼介。この手紙が事件の真相を明らかにする鍵よ」と香織は興奮気味に言った。


手紙には、美咲が事件当日に内山を訪れた理由と、その後の出来事が詳しく書かれていた。彼女は内山に対する愛憎の狭間で苦しみ、彼を傷つけるためにある行動を取ったことが記されていた。


「内山は美咲によって罠にかけられたんだ。彼は無実だった」と涼介が言った。


香織と涼介は、手紙を手に入れたことで、美咲を追い詰める準備が整った。二人は美咲の住む家を再び訪れ、彼女に対峙することにした。


美咲の家に到着すると、香織は冷静な態度で美咲に手紙を見せた。「美咲さん、これがあなたの真実ですか?」


美咲は一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに冷静を取り戻し、重い口を開いた。「そうよ、これは私の書いた手紙。でも、それが何か?」


香織は美咲の目を見つめながら言った。「あなたが内山さんを罠にかけたことを認めるのですね。彼は無実だった。」


美咲は深いため息をつき、目を閉じた。「内山に裏切られたと思った瞬間、私は彼を憎むようになった。そして、その憎しみが事件を引き起こしたの。」


香織は美咲の告白を聞きながら、その背後にある痛みを感じ取っていた。「美咲さん、あなたの気持ちはわかります。でも、その行動が間違っていたことも理解していますか?」


美咲は目を開け、涙を浮かべながら頷いた。「はい、わかっています。でも、そのことを認めるのはとても辛い。」


香織がついに美咲を追い詰め、彼女が事件の真相を語り始めた瞬間、美咲は突然立ち上がり、部屋から逃げ出した。香織と涼介は驚きつつも、すぐに追いかけるが、美咲は霧の中に消えていく。次回、二人は美咲を見つけ出し、事件の真相を完全に解明するために全力を尽くすことになる。

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