第2話 新たな証拠

香織と涼介は、霧が立ち込める朝の湯布院の町を歩きながら、事件現場へと向かう。霧が銀色のヴェールのように町を包み込み、温泉宿の屋根から立ち上る蒸気が淡いピンクとオレンジの光に照らされる中、二人は静かに進む。


「香織、昨日の手帳の内容を詳しく確認してみる必要があるね」と涼介が言う。彼の目は真剣で、その冷静な態度は香織に安心感を与える。


「そうね、涼介。まずは手帳に書かれていた場所を調べてみましょう」と香織は応じる。


内山の温泉宿「静香亭」に戻ると、坂本弁護士が待ち構えていた。彼は今日も奇抜なファッションに身を包み、紫色のネクタイがひときわ目を引く。「おお、お待ちしてましたよ、探偵殿。さて、次の一手は?」


香織は手帳を開き、昨日の調査で見つけた新たな証拠品について話し始める。「この手帳には、事件当日の詳細が記されています。そして、ここに書かれているのが、その日目撃された人物の特徴です。」


涼介が手帳の記述を読み上げる。「長い黒髪に、赤いコートを着た女性。この人物が目撃されていたことが確認されています。」


「そして、この人物が高橋美咲ということがわかっています」と香織が付け加える。「内山さんが無実であることを証明するためには、彼女が事件にどのように関わっているのかを突き止めなければなりません。」


坂本は興奮気味に話し始める。「そうですとも、探偵殿!この美咲さんが事件の鍵を握っているに違いない。さあ、早速彼女の居場所を突き止めましょう。」


香織と涼介は、高橋美咲の行方を追うために、町の中を調査し始める。霧が晴れる中、町の住民に話を聞きながら、美咲の足取りを追う。


やがて、二人はある古い神社にたどり着く。神社の裏手に続く小道を進むと、そこには古びた茶屋があり、美咲がよく訪れていた場所だということがわかる。茶屋の主人からの情報で、彼女が最近何度もこの場所を訪れていたことを知る。


「ここに手がかりがあるかもしれないわ」と香織が言う。


涼介は周囲を見渡し、注意深く観察する。「香織、この辺りをもう少し詳しく調べてみよう。」


二人が茶屋の裏手を調べると、そこに隠された小さな木箱を発見する。箱を開けると、中には古い写真と手紙が入っていた。


「これは…」と香織が驚きの声を上げる。「この写真、内山さんと美咲さんが一緒に写っている。しかも事件の日付が記されている。」


涼介が手紙を読み上げる。「この手紙には、美咲さんが事件の真相を知っていることが書かれている。彼女が目撃した事実が、内山さんの無実を証明する鍵になるかもしれない。」


新たな証拠が高橋美咲の存在を示唆し、彼女が事件の真相を知っていることが判明する。香織と涼介は美咲を見つけ出し、彼女から真実を引き出すための次の一手を考える。美咲の証言がどのように事件に影響を与えるのかが注目される。

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