概要
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- ★★★ Excellent!!!この前衛俳句集は良い
「神獣の嘔吐響けるゆふまぐれ」、音数を数えてみて驚愕するのは(冷静になれば当たり前だが)完全に五七五の定型に収まっているという点である。
「神獣の」「嘔吐」「響ける」「ゆふまぐれ」である。あまりにも緊密に組み込まれた高濃度の幻想だ。
「神獣」の神聖さに「嘔吐」を結びつけた点に聖俗を合体させてみせる超技術がある。おそらくここに何らかの秘密がある。
見返してみれば「春の贄として芍薬崩れゐる」も「はるのにえ」「としてしゃくやく」「くずれいる」と「としてしゃくやく」の区切りを見つければ五七五である。
なんと憂鬱なるうっとうしい春であろうか。
「八本の足なべて義肢の蜘蛛の仔ら」は五八五。「足なべて…続きを読む