ジェノサイドオルガン

玉野勇希

ジェノサイドオルガン

春の贄として芍薬崩れゐる

神獣の嘔吐響けるゆふまぐれ

劇薬を詰めた魔法瓶を抱ふ

かはほりのふはととけ消ゆ高架下

八本の足なべて義肢の蜘蛛の仔ら

ずたずたの死/体/洗/浄/非/正/規/雇/用/者 アルバイト

白驟雨鬱姫の黒髪や濡るる

千脚の椅子が死者らを待ちにけり

窓辺にて、落日に燃ゆる処女詩集

灯蛾 ヒトリガを詩集の頁に捕へたり

鱗粉が(tenshi emoji)を描きゐる

白鳥座濡れてSSRIや染む

悪食の月がをんなのゆび ねぶ

男根に千の弾痕穿たれり

神變忌の薔薇に避妊具着せにけり

虐殺器官 ジェノサイドオルガンを模したぬひぐるみ

灰降るがごと目が眩む五月尽

完全に発狂した春として、夏

現実が漏電してねもふいらが咲く

にほんごのいうれいのごと句は立ちぬ

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ジェノサイドオルガン 玉野勇希 @yvk1tamano

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