静かな叙情性の薫る作品です。雫、海獣、波、霙など、水の気配がちりばめられていて、独特の世界観が構築されているのです。また、ありふれた日常の物質に焦点を当てて、そこから的確な描写力で、一気呵成に詩へと昇華させる手腕には、感動しました。線香から始まって花火で終わる構成力の見事な短歌集。推し短歌1首。光るならそれは波だろプールにはあなたが生んだ波だけがある