第10話

 死ぬ勇気もないのに、なんで、全てがイヤになったら、死ねるから。とか思ってるんだろう。

 バックれる勇気もないのに、なんで、全てがイヤになったら、全部バックれるから。とか思ってるんだろう。

 いざ、本当に限界を迎えた時、私はどんな決断をするのだろう。どんなふうになるんだろう。

 もし、明日母が死んだら? 父が死んだら? 大きな稼ぎがなくなって、私が今やっているバイトだけで生きていかないとダメになったら? どうするのだろうか。

 弱者になった時、私を救ってくれる法律と、私を救ってくれる人間、私を救ってくれる作品は存在するのだろうか。

 私を救ってくれる法律があったとして、人間がいなかったら?

 私を救ってくれる法律と人間がいて、作品がなかったら?

 私を救ってくれる全てがあっても立ち直れなかったら?

 私はわがままです。ネガティブだしわがままです。

 でも、私よりもポジティブで、未来があって、お金持ちで、立場もあって、それなのに私よりも不真面目で、不誠実で、やりたい放題の人間がいます。

 そんな人間を知っていながら、目を背けている人もいる。

 そんな人間をそもそも知らない、という人もいる。

 私は、死ぬ勇気もないけれど、死を抵当に、必死に、必死に、真面目に、真面目に、生きているのです。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

地球規模 蒼井 狐 @uyu_1110

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ