計画

 あっけらかんと最も重要なことを告げるオクタヴィウスに対して。


「ちょちょっ!?一体どういうことなのっ!?自分の正体がバレたって!」


 アグリッパは大慌ての様子で食って掛かっていく。


「クレオパトラの妹であるアルシノエに自分の性別を知られた……あの女が僕の入っていたお風呂へと勝手に一人で入りに来るとか予想外。あんなん予想するとか無理ゲー。何で奴隷が入っている風呂に入ってこようとすんねん。王族やろ、お前」


 そんなアグリッパに対して、オクタヴィウスは淡々と現状について説明していく。


「ふ、ふしゅ、風呂……」

 

「それでも何とかアルシノエとの契約関係を結んできた。一旦は彼女と結託できそうだから、さほど問題にはならないかな?」


「……結託?貴方が?どうやって?」


「第一の計画を破棄する」


「えっ?」


「予備の策があるでしょ?あれに移行する。僕はアルシノエに対し、打倒クレオパトラの策を申し付けた……まだ、細かなことは決まっていないけどね」


「……クレオパトラを打倒する???」


「別に女一人手玉とすることくらいさほど難しくはないよ。その体で僕たちが持っていた第二の策を行う」


「えっ……?あれを?確か、成功出来たら最もリターンが大きく、最短で成り上がれる……という話だったけど、結局のところは問題も、実現可能性も低かったから諦めた作戦よね?」


「そう、それだよ」


「……出来るの?」


「問題ないと思う。実際にエジプトの宮殿で仕事をして、多くの情報に触れあった中で間違いなく出来ると……思う?」


「思う、じゃだめじゃない」


「仕方ないじゃん。どこまで行っても思う、としか言えないんだよ。あそこまでの話になると……どこまで詳細に情報を集めても結局のところ予想に落ち着くんだよ」


「……そっか」


「でも、行けると思う。だから、あの策で行く」


「わかったわ。どこまでも貴方と私は一緒にいるから……でも、いつでも逃げられる準備をしておくから。何かあったらすぐに私のところにね?」


「了解……それじゃあ、二人でエジプトの神をわが物としようか」


 自分たちの行動方針を決定させたオクタヴィウスは僅かに頬を硬直させながら笑みを浮かべるのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

奴隷の身分に生まれし女装ショタはクレオパトラも見惚れちゃう魔性の男の娘 リヒト @ninnjyasuraimu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ