【完結】港町事件簿 旅先編 グルメ殺人事件簿 ②
湊 マチ
第1話
香織と涼介は、フィレンツェの美しい街並みを眺めながら、レベッカ・ブラックの推薦を受けてこの地を訪れていた。レベッカはフィレンツェが持つ魅力とその美食の素晴らしさを熱心に語り、二人にこの旅を強く勧めたのだった。
「レベッカがこんなに強く勧めるなんて、よほど素晴らしい場所に違いないわね。」香織は飛行機を降りた瞬間、心地よい風を感じながら微笑んだ。
「そうだな。観光と美食、どちらも楽しめるなんて最高だ。」涼介も笑顔で答えた。
二人は荷物をホテルに預け、フィレンツェの観光名所を巡り始めた。まずはドゥオーモ(サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂)を訪れ、その壮大な建築に感嘆の声を漏らす。
「本当に美しいわ。こんな建物が何世紀も前に建てられたなんて信じられない。」香織は大聖堂のファサードを見上げながら言った。
「ダ・ヴィンチやミケランジェロが生きていた時代を感じるな。まさに歴史が息づいている場所だ。」涼介も同意した。
次に二人はウフィツィ美術館を訪れ、ダ・ヴィンチの「受胎告知」やボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」など、数々の名画に目を奪われた。
「レベッカが言っていたように、この街には本当に多くの宝が隠されているわね。」香織は感慨深げに言った。
「その宝の一つが、今日のイベントで披露される料理かもしれないな。」涼介はそう言って笑った。
その日の午後、二人は有名シェフのルカ・ロマーノが特製トスカーナ風リブステーキを披露するイベントに参加するため、彼のレストランへと向かった。
レストランに到着すると、香織と涼介はすぐにルカに挨拶をした。「こんにちは、ルカさん。今日はあなたの料理を楽しみにしています。」香織が笑顔で言った。
ルカは微笑みを返しながら、「ようこそお越しくださいました。今日は特別なリブステーキをご用意しています。どうぞお楽しみください。」
レストラン内は洗練された雰囲気で、香り高い料理の匂いが漂っていた。テーブルには美しい装飾が施され、まさに一流の料理を楽しむための空間が広がっていた。
香織と涼介は席に着き、周囲の雰囲気を楽しみながら料理の到着を待っていた。その時、香織の目に助手のエレナ・フェラーリの姿が映った。彼女は緊張した様子で、何かを気にしているようだった。
「エレナさん、何かお困りですか?」香織は優しく声をかけた。
エレナは一瞬驚いた表情を見せたが、すぐに微笑んで答えた。「いいえ、少し準備に手間取っているだけです。でも大丈夫です、もうすぐお料理をお持ちします。」
その言葉に少し違和感を覚えた香織は、エレナの様子を見守ることにした。涼介もまた、何か不穏な気配を感じ取っていた。
その後、ルカの特製トスカーナ風リブステーキが運ばれてきた。香織と涼介は、その美しい盛り付けと芳醇な香りに心を奪われた。
「これは本当に素晴らしいわ。」香織は目を輝かせながら言った。
「さすがルカさんだな。」涼介も同意し、リブステーキを一口食べた。
しかし、その時、香織の目に再びエレナの緊張した表情が映り込んだ。「何かがおかしい……」香織は心の中でそう感じた。
こうして、フィレンツェの美しい街並みと美食を背景に、香織と涼介は新たな事件の兆候を感じ取ることになった。レベッカの推薦で訪れたこの地で、二人は再び謎を解く冒険に身を投じることになるのだった。
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