恋愛の終わりって?

 人生の終わりはそのひとの命の終わり、「死」だとするなら、「恋愛」の終わりってどこにあるんだろう?
 告白?
 結婚?
 出産?

 思いを確かめ合ったら、そこで成就?

「物語」としては、きっとそう。
 なにかをきっかけにして、クライマックスを持ってきて、お互いにこみあげてくるものがあって、読者もそれに思い入れして……

 良かったね、でおしまい。
(あるいは悲恋なら可哀想だった、でおしまい)

 で、もし続きがあるとしたら、つぎは「ライバル登場」だったり「浮気発覚」だったり「記憶喪失」ってのもドラマチックかな。
 なにか事件が起きないと続かない。

 でも、現実を生きてる私たちは、そうじゃないことだって知っている。
 思いを確かめ合ったあと、なんの波乱も起きなくても、彼らはいままさに「恋愛」の渦中にあって、毎日、なにかに悩んでるってことを。

 この話は、そんな「恋愛」の話だ。
 「物語」が終わったあとの、恋愛の渦中にいる主人公たちの、ありそうでなかった(かもしれない)お話。

 やきもきすることはあるし、家庭環境に気になることもある。未来に不安は絶えないし、でも「いま」は「退屈がご馳走」、たぶんそんなふたりの話である。