第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト【二十首連作部門】『ことばじり』

『ことばじり』

今日は明日　明日は明後日　その先も　繰り返される　約束と嘘

嘯（うそぶ）かれ　軽くて薄い　君のこと　縛（しば）り続ける　私の想い

重いんだ　愛や未来や　肩書きが　雁字搦（がんじがら）めで　息もできない

泣いている　やればできると　聞くたびに　不良品だと　貼られる心

頃合（ころあ）いは　誰から視点　それによる　お互いを見て　見えぬ立ち位置

一番は　君なんだよと　言われても　それじゃダメだと　消える人混み

ゴミ箱の　ぬいぐるみすら　羨（うらや）んで　君から逃げて　壊した日々は

罅（ひび）割れた　もう戻らない　あの日には　幸せだった　記憶が欠けた

架けたのは　君との未来　繋ぐ橋　そう信じてた　君の嘘つき

月を見て　愛を伝えた　文豪も　恋で死にゆく　雲居（くもい）の人も

一文字も　書き残せない　筆を折り　墨（すみ）を被（かぶ）って　君に抱きつく

創るのは　隣に倣（なら）う　笑顔だけ　所詮（しょせん）真似事（まねごと）　ただの贋作（がんさく）

桜咲く　恋の季節に　はじまった　花は散りゆく　恋で死ねたら

寝たらいい　今はひたすら　目を閉じて　瞼（まぶた）の裏の　君に委（ゆだ）ねる

煉（ね）る菓子は　君みたいだと　笑ってた　独りよがりの　甘さと捨てた

棄てたはず　離れて空いた　穴の風　吹き荒れ気づく　苦しい孤独

毒を持つ　花はこのまま　広がって　私を捨てた　君を壊した

したたかな　君と私が　絡（から）み合（あ）う　帰っておいで　胸のぬるま湯

繭（まゆ）でしか　生きられないと　知ったはず　もう君からは　離れられない

内緒だよ　縛られたのは　どちらかな　知らぬが仏　愛に生きよう