偽ロソフィー

屑木 夢平

偽ロソフィー

 にわか雨が走り去った後の


 公園の砂場にできた水溜まり


 水面に映った僕の顔は必要以上に歪んで


 笑おうとしても頬が引きつるばかり


 それでも美しいと美しい奴がうそぶいた


 ありのままの自分を愛そうと自信家がのたまった


 眩しすぎる価値観を押しつけて


 劣等感を白飛びさせる今世紀的フィロソフィー


 あいつら何もわかっちゃいねえんだ


 それでも美しいという言葉の「美しい」ではなく「それ」の方が大事なんだって


 ありのままの「あり」の部分が僕のことを嫌っているんだって


 いいかよく聴け


 僕らが本当に欲しいのは美しいという言葉でもなければ


 自分を愛することでもない


 美しくもなく自分嫌いな自分が


 それでも生きていい場所が欲しかった

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