幼馴染で移民の彼と、私。恋愛音痴が本当の望みを叶えるまでの記録

 これは、作者の得意な作風である「アルファ男子を巡るヒロインレース。裏切りも抜け駆けも有りの青春サバイバル」
・・・ではなくて!

 二人で過ごすことが当たり前になっていた少年少女が、ふとした事から嫉妬や独占欲を抱いたり、周囲が引き起こす(ちょっとした)騒動をきっかけに。
 どんな関係であり続けたいのか、その為にはどうすればいいのかを自覚し、その気持ちを伝え合うまでのお話です。同時に、彼らの周辺人物の、絡み合う関係も描かれます。

 作者の得意な作風をあえて封印した、平和で、分かりやすいストーリー。
 一方、作者の「淡々とイベントと時間軸を進めていく」技巧が仇となり、胸キュン・ドキドキの具体的成分が、やや不足気味です。
 腐れ縁の二人が正式に結ばれるには「ちょっとしたキッカケ」さえあれば、それで良かったのかもしれません。