15終わり
「おぉ?目が覚めてたか。」
玉座にだらしなく座る背高のっぽ。鬼の手は縄で縛られている。鬼は俯いていた。
「お前、よくあの届けを無視し続けたなぁ?おかげで手こずったわ。」
にやりと笑う。憎たらしい顔だ。
「もういい。儀式の準備は完了しておる。」
背高のっぽは椅子から離れる。
「あ。良いことを教えよう。」
持っている扇子を閉じて顎に乗せて言う。背高のっぽが鬼に近づく。
「…………。」
「お前が鬼なのに花を好きな理由。知っとるかぁ?」
鬼が一瞬目を見開く。
「おぉう。やっぱ気になるかぁ。そうだよなぁ。我々鬼は、花など嫌いじゃあ。お前のような甘ったるい奴はおらん。」
ケラケラと愉しげに背高のっぽは言った。背高のっぽは持っている扇子で、鬼の顎をぐいっと上げる。
「それはなぁ。お前がこの世に要らんからよ。花と同然。」
にまりと鬼の方へ向く。八重歯が光る。
ぐいっと扇子を奥に押す。
「……っ。」
「つまらんのぉ。前のようにへらへら笑ってた時の方がよっぽどおもろかったのぉ。落としがいがあった。」
背高のっぽは後ろを向く。羽織りが宙を舞う。
「では、始めるぞい。」
――――――――――――――――――
「――――、――」
(結局、何もできんかった。あの子供を置いて来てしまった。そらそうや。迷惑ばっか、困らせてばっかやったし。天罰やなぁ。)
天を仰ぐ。光が鬼を避けて行く。
「――――――。」
正面を向いた。
「ごめんなぁ。」
鬼は心を失った
鬼花 あ行 @kilioishii
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます