大真面目な話としてはあまりにもぶっ飛んでいる。


 人間原理。

 観測の果てに人類が考えついた、ひとつの結論。

 あなたはこれをどう捉えるか?




 最初に一つ、重要な補足をしなければならない。

 それは、作者が挙げている「人間原理」は実際に存在していて、今でも研究者の一部が支持しているということだ。
 かの有名なホーキング博士も「弱い人間原理」を推していた。


 人間原理とは、宇宙の存在や仕組みを語るときに「人類の存在」を考慮する必要がある、という理屈だ。
 これはぶっちゃけた話「人類なしに【今の】宇宙は存在しえなかった」という考えとなる。(正確には人類のいない【別の】宇宙が同時に存在しているかもしれない)

 ぶっ飛んでいる。考え過ぎだと思うだろう。

 が、それだけ我々が今立っている場所は、あまりに偶然の産物が過ぎるということだ。
 例えば、太陽は表面温度だけで6000度の灼熱球であり、我々が光と呼んでいるモノは1秒に地球を7周半する。そんな光が100億年かけても宇宙の端には達しない。
 そんな創作ですら及ばないような場所に、体温が42度を超えただけで致命的な状態に陥る動物が生きていて、しかも高度な分析を行っている。
 この事実をどうやって説明するか……そもそも出来るのか。そういう話なのだ。

 シャーロック・ホームズは「全ての不可能を消去して、最後に残ったものが如何に奇妙な事であっても、それが真実となる」との台詞を残したが、
 人間原理は消去法を突き詰めた結果と言っても良い。


 世界の深淵に一時、思いを馳せてみてはいかがだろうか。