我思う、故に宇宙あり
船越麻央
人間原理宇宙論
無限に広がる広大な宇宙。
ビッグバンから約138億年。
いまだに膨張を続けている。
わたし達の母なる地球の属する天の川銀河。
2000億の恒星の大集団。
さらにマゼラン星雲や、アンドロメダ大星雲。
アンドロメダ大星雲までは光の速さで260万年かかる。
気の遠くなるような広さである。
しかし宇宙から見ればほんの一部に過ぎない。
そんな宇宙にわたし達は生きている。
取るに足らないちっぽけな存在だと言われる。
しかし果たしてそうだろうか。
わたし達はこの宇宙を認識し、観測し、解明しようとしている。
130億光年の彼方からの光をとらえている。
少しずつだが宇宙の構造を解明しつつある。
もしわたし達のような知的生命がこの宇宙に存在しなかったら。
たとえば物理学上、自然法則とその中に現れる物理定数。
もしそれが異なる法則、値、空間、条件をとる宇宙であったなら。
その宇宙では銀河も恒星も惑星も形成されないだろう。
当然、わたし達はもちろん知的生命は存在していない。
誰も認識、観測しない荒涼とした宇宙空間。
果たしてそれで存在していると言えるのか。
誰かが観測してこそ存在できる。
すなわち、知的生命が観測しない宇宙は存在しない。いやできない。
百歩譲ったとしても、宇宙の構造は人間の存在を必要としているのだ。
正確には宇宙を観測し、解明できる知的生命を宇宙内に宿さなければならない。
自らが存在するために。
この宇宙内からすべての知的生命が存在しなくなった時。
わたし達の宇宙は終焉を迎える。
このような考え方は受け入れ難いかも知れない。
しかしこれだけは言える。
我思う、故に宇宙あり。
了
我思う、故に宇宙あり 船越麻央 @funakoshimao
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ネクスト掲載小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます