此岸と彼岸の沖縄怪談

タイトルにある『ユートゥジ』とは、
沖縄方言で『夜伽』延いては『通夜』を
表すという。つまりは夜を徹して死者と
向き合う事を意味するが、この此岸と
彼岸との境が曖昧な時空間を、何某かの
頼みの綱を握りしめて臨む事となる。
それが、仕来りであり禁忌事項である。

この作品は、沖縄怪談の中でも今まで
あまり目にした事のない『仕来り』を
テーマに描き出された短編集であり、
大変に興味深い。
『シニフジョウ』『トーフノカシィ』…
沖縄に縁を持たない者にとって、それが
どのような禁忌であるのか想像しつつ
読み進めるのは、一つの謎解きのようでも
あるだろう。今後更に増えるのが待たれる

此岸と彼岸との間を織りなす沖縄怪談。