第15話

探偵事務所の会議室。薄明かりが差し込む中、香織、涼介、一郎、花子はテーブルを囲んで座っていた。机の上には、山積みになった証拠書類が広がっている。空気は緊張に包まれているが、その中には揺るぎない決意が感じられた。


「これが最後のチャンスよ。全ての証拠を一気に公表して、企業の不正を明らかにするの。」

香織が決意を込めて言う。


「そうだな。これで終わらせよう。」

涼介が深く頷く。


「私たちが今までやってきたことが無駄にならないように、最善を尽くすわ。」花子が力強く言う。


「皆さん、この瞬間を待っていました。さあ、やりましょう!」一郎も意気込む。


香織は一瞬目を閉じ、深呼吸をする。そして、再び目を開けたとき、その瞳には鋭い光が宿っていた。


---


メディアの前で、香織たちは記者会見を開く。広い会場に集まった記者たちの前に立ち、香織は堂々と証拠書類を掲げる。テレビカメラが回り、全国に生中継される。


「ここにある全ての証拠が、企業の不正行為を示しています。これを見てください。」

香織が冷静に話し始める。


「私たちは真実を求め続けます。誰もが知るべき事実を、今ここに明らかにします。」涼介が続ける。


「この勇気ある行動が、皆さんに希望をもたらすことを願っています。」

花子が感動的な言葉を述べる。


会場の記者たちは驚きと興奮の声を上げ、質問が飛び交う。しかし、その中に不穏な空気が混じる。企業の関係者が潜んでいるのだ。


---


企業の上層部は、香織たちの行動に対し、最後の抵抗を試みる。彼らは記者会見を妨害しようと計画する。


上層部の一人が、会見場の裏で急いで無線で指示を出す。

「妨害工作開始だ!今すぐ記者会見を中止させろ!」

しかし、無線が途中で電池切れになり、

「ピーピーピー」と音が響く。

彼は慌ててポケットから電池を取り出すが、手が震えてうまく入れられない。


一方、別の上層部のメンバーが、会場の照明を操作しようとするが、間違えてスポットライトを自分に当ててしまう。明るい光に驚いた彼は、目を眩ませて転倒し、マイクを倒してしまう。


「皆さん、落ち着いてください。私たちには正義があります。」香織が強く言う。


「彼らの妨害は真実を覆い隠すことはできません。」

涼介が毅然とした態度で応える。


「私たちの声を聞いてください。これは全ての人々のための戦いです。」花子も一歩も引かない。


記者会見は続き、次第に企業の妨害も力を失っていく。真実の力が勝っているのだ。


---


企業の不正が明らかにされ、世間は大きな反響を見せる。香織たちは成功を祝う。


「やったわ!これで企業の不正が明るみに出た。」香織が歓声を上げる。


「そうだな。これで正義が勝った。」涼介も微笑む。


「花子さん、一郎さん、本当にお疲れ様でした。これで私たちの使命は果たせたわ。」

香織が感謝の意を表した。


「皆さんのおかげで成功しました。これからも一緒に頑張りましょう!」花子も笑顔で答えた。


彼らはその場で笑顔を交わし、成功を祝った。門司港の夜空には、星々が輝いていた。


---


祝福の後、事務所に戻ると、電話が鳴り響く。新たな依頼が入ったようだ。


「もしもし、三田村・藤田探偵事務所です。」

涼介が電話を取る。


「助けてください。新たな事件が発生しているんです。」

電話の向こうから緊迫した声が聞こえる。


「わかりました。すぐに向かいます。」

涼介が答え、電話を切る。


「さあ、新たな事件が待っているわ。私たちの仕事はまだまだ終わらない。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【完結】港町事件簿 探偵事務所編 『始動』 湊 マチ @minatomachi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ