バンドマンのフレディが異世界に飛ばされてダンジョンで有名曲を歌ったら強力魔法で無双だった日々の日記

ゆず⭐︎るる

第1話

ずっとバンドマンやってて売れなかったオッサンが突然異性界のダンジョンにぶっ飛んだ日記をここに書き残す。


オッサンは40歳。バンドでボーカルやれば女にモテると思ってたが現実は違った。20歳で童貞は捨てたが、その後は女日照りの毎日だった。そんなオッサン、否、フレディが異世界の飛ばされて無双し女にモテる記録をここに日記として書き残す。


まずは俺がなんで異世界にぶっ飛ばされたかを説明しよう。

こんな俺も40歳の誕生日を迎えた頃は流石にまずいと思い始めた。「正社員の仕事見つけないと…」そう思った俺はタクシーの運ちゃんになった。


タクシーの運ちゃんの面接に合格した俺は意気揚々と事務所に向かった。でもそこは事務所じゃなかった。。所謂、冒険者のギルドだった。。


たぶん、これは俺の憶測だが、現代社会に激しく反発していた俺は無意識のうちの異世界を引き寄せ入って行ったのだろう。ちなみに俺の婆ちゃんは青森でイタコをやっていた。


そんな訳でダンジョンの最深部あると言われている「億万長者になれる宝物」を目指すギルドに到着した俺は有無を言わされず、契約書を書かされ装備を渡されダンジョンに入って行くのであった。


ダンジョン入りの初月は一応、冒険者ギルドに入会した会員は「熟練冒険者のサポート」と「最低保証給制度」というのもあったが、それはそれで甘い話ではなかった。


「熟練冒険者のサポート」というと聞こえは良いが、奴らもライバルで、同業者にそんな甘い話はしてくれない好き勝手な事を話し、先輩面を吹かせ、たまに憂さ晴らしに怒鳴りつける。期待はしていなかったが、そんな感じだった。


「最低保証給制度」というのも真に受けてはいけない。冒険者ギルドも商売だ。儲けを出さなくてはいけない。とにかく保証額に満たない成果を持って来ない冒険者には様々な圧力をかけてくる。


そんなこんなで何とかダンジョン入り初日を迎えて俺だったが、初日を最悪だったよ。この辺で「ダンジョンって何か大変」「全然モテねーじゃねえかよ」と思った諸君。もう少し待ってくれ。俺がバンドマンで培った能力を発揮してモンスター相手に無双し露出多めの女冒険者にモテまくるのは、次の話にする。とりあえず今日は俺がダンジョン入り初日にどんなトホホな出来事があったか、もう少しお付き合い下さい。


【フレディの日記4月1日】

冒険者ギルドを出た俺は時空移転装置のような物でダンジョンにワープした。初のワープはゲロ吐きそうになった。そして無事にダンジョンの一階に着いた俺はこれから最深部を目指して行く事になるが、今更だがダンジョンは深くなればなるほど強いモンスターが出現する事になるのは、まあもう少し先の話だが、ダンジョン冒険者の俺には知る由もなかった。訳も分からずダンジョン標識を見ながら彷徨っていた俺が初めて会ったモンスターは「太ったゴブリン」だった。


「太ったゴブリン」は脂ぎった顔で何かを喋っていた。無論、俺には何を話しているかさっぱり分からない。そんな俺に痺れを切らした太ったゴブリンは持っていた棍棒で俺を攻撃してきた。咄嗟にかわす俺。バンドマンは実は条件反射能力は高い。「音楽と武術」は似たような能力を必要とするらしいが、俺が長年培ってきたリズム感は役立ったらしい。


それにしても訳が分からない俺は太ったゴブリンの第二、第三の攻撃も何とかかわしていたが、一体どうしたら良いのか分からない俺。遂に足がもつれてその場に倒れ込んだ。太ったコブリンは渾身の力を込めて俺に向かって棍棒を振り上げた。そして俺は頭が真っ白になった。


「クソみたいな人生だったな」そう思って観念した瞬間、俺の頭の中にバンドでよくやったディープパープルの「バーン」のリッチーブラックモアのギターリフが鳴り響いた。「デレレレレーンデレレレーン」。「死ぬって時にこれかよ。ふざけやがって。。分かったよ!」俺はリフの後に歌い慣れた「バーン」の歌詞を叫んだ。


『赤く染まった空、一体何なんだ。真夜中過ぎだってのに、辺りがはっきり見える。みんな言ってる、「あの女は呪われている」と。

「あの女が手をかざすだけで人が燃えちまうんだ」と。市街地は燃え盛り、町は炎に包まれる。女の炎は高く燃え上がる。俺らがバカだった、あの女を嘘つき呼ばわりしてた。聴こえてくる声は「燃えてしまえ!」』


次の瞬間、太ったゴブリンは真っ赤な炎に包まれた。そして呆然と見ていた俺の目の前で朽ち果てた。これは後に分かった事だが、この世界ではまだ「言葉」というものが良くも悪くも未発達で、俺が発した歌詞は高度な「振動」を持っていて、自然界に干渉し、まさに太ったゴブリンを燃やしたらしい。


こうして俺のファーストバトルは終わった。太ったゴブリンの燃えかすから出てきたジュエルを回収し時空移転装置で冒険者ギルドに戻った俺は、前髪パッツンの受付嬢から「お疲れ様」と言われ、どうやら冒険者の宿に無事帰ったようであった。こうして俺のダンジョン初日は無事終わった。


2日目に続く。。





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