第4話

10体以上に襲われていた劣勢状態だった方に助けに入ったシュレン。それはレイティル連邦共和国の独善的で"自分たちこそが正しい"と言わんばかりなその言葉が気に入らなかった。


シュレン1人で10体以上のラジンアーマーを相手にしさらにそれらを率いる隊長機を破壊することに成功した。


『そんな・・・バカな・・・あのバーブナーが・・・』


オープンチャットにて聞こえてきたのはその驚愕するような言葉が最後だった。レイティル連邦共和国側でそこに残っているのは既に宇宙戦艦のみとなっていた。


シュレンは残りの宇宙戦艦に剣を向けると相手はワープシステムを起動して一目散に逃げ出していった。


「さて・・・つい気に入らなかったからぶっ飛ばしたわけだけど・・・これからどうするか」

「・・・リミッターを解除した相手よりも速かった・・・」

「そう言えば相手もそんなこと言ってたな・・・なんだそのリミッターの解除ってのは?」

「リミッターの解除は・・・リミッターを解除すること・・・」

「・・・なるほど・・・」


分からなかったのか長く喋るのが苦手なのか面倒だったのかケーシャの説明はそれで終わった。するとシュレンが守った側の宇宙戦艦から話しかけてくる。


『助けていただいて感謝いたします。お礼もしたいので戦艦ベリサルスの中へどうぞ』


そう言って招かれたシュレン。


「これは・・・行ってみるか・・・ケーシャもそれでいいか?」


コク


ケーシャの了承もありシュレンは戦艦ベリサルスの中へと入っていく。同じように戦艦ベリサルスを守っていた3体のラジンアーマーも共に。


中へと入り黒夜叉を誘導通りに設置して外へ。すると続々と多くの人がやってくる。中には大人だけでなく子供たちも大勢。


「・・・子供が多いな・・・」

「・・・避難民って言ってた・・・」

「どこかから逃げてきた、か・・・」


先程の件である程度の推測が立ったシュレンとケーシャ。そしてその推測は当たっていた。そう二言三言ケーシャと話していると隣のラジンアーマーを降りた40代ほどのパイロットがシュレンたちの方へ。


「助けてくれてありがとう。俺はイーステン王国の隊長であるライズ・ストーマクだ」


そう言って手を差し出してくるライズ。シュレンもそれに答える。


「シュレンだ。シュレン・バックナード。そして・・・」

「・・・ケーシャ・ロマンコフ・・・」


ケーシャに話を振るとそうポツリとつぶやいてシュレンの背後に隠れた。


「なんでラジンアーマーから2人で出てきたんすか?2人はどういう関係っすか?」

「質問攻めにするな!失礼だろう!」


すると、残りの2人のラジンアーマーパイロットがやってきた。


「部下が申し訳ない。こっちのうるさいのがバレルモ・モンドでこっちの生真面目なのがロアイ・ヤンドルスだ」


共に20代ほどでありバレルモはチャラそうでロアイは見た目からして生真面目と言うのが分かる。


「とりあえずこっちに来てもらえるか?みんなも待ってる。それにゆっくりと話もしたいからな」

「ああ、分かった」


そうしてライズの後を付いていくシュレンとケーシャ。途中でやってきた者たちとは自己紹介は後という事で。


「ねえ!ねえ!名前なんてーの!」

「お兄ちゃん強いね!」

「あっちで一緒に遊ぼ!」

「お姉ちゃん可愛いね!」

「目が違う!可愛い!」

「ねえねえ!どういう関係なの!兄妹?恋人?」


子供たちからは質問攻めに遭うシュレンとケーシャ。シュレンが適当にあしらっていたがケーシャはと言えばここまで戸惑ってばかりでなにも返答が出来ないでいた。それはここまで質問されたり好意的な目で見られるといった経験が無かったから。


「(これもケーシャのリハビリにはいいかもな)」


と、いうわけで完全に目で助けを求めていたのを分かりながらそれを無視するシュレン。


そのまま大人が子供たちを追い払い重力装置が効いているエリアの部屋に入り話となる。そこにはシュレンたちを除けば5人。ライズたちを3人を除けば名前を知らないのが2人。うちの1人は60を超えていそうなおじさんでありもう1人は中学生ほどの子供だった。


「では自己紹介から。私はイーステン国で軍事会社を経営してましたウォーレン・ダレアノと申します。基本的にはこの戦艦ベリサルスはライズさんがトップなんですがライズさんがいない間は私がリーダーのような立場となっております」

「じゃあ、あいつらと言い合いをしてたのはあんたか?」

「ええ、居てもたってもいられずに・・・お恥ずかしい・・・」


そう言って恥ずかしがるウォーレン。すると横に座っている子供がその恥ずかしがるウォーレンを否定する。


「なにも恥ずかしがることなんてありません!あのレティシア連邦共和国を前にしてあそこまで毅然とモノを言える人はそういませんよ!僕はウォーレンさんを尊敬します!」

「ははは。ありがとうございますヒューイ殿下」


そんなやり取りの後にライズが紹介する。


「この方はヒューイ・ライレイン殿下。これより我々が避難する先であるライレイン国の王族の方だ」

「あ!?すいません!自分の自己紹介がまだでした!僕は紹介された通りヒューイ・ライレインと申します!レイティル連邦共和国の奴らから助けていただきありがとうございます!」


そう言って頭を下げる一国の王子。するとそれに倣うように4人もシュレンに対して頭を下げる。


「・・・お礼は受け入れた・・・だが、ヒューイ殿下は王族なんでしょう?そんな簡単に頭を下げていいんですか?」


年上のウォーレンを相手であろうともタメ口を崩さなかったシュレン。しかしさすがに相手が王族となっては敬語を使うようだ。


「感謝を述べるために頭を下げる・・・これはおかしなことですか?」


そう当たり前かのように言ってのけるヒューイ。これだけでもヒューイの人柄と言うのが窺える。

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