第3話

青豚宇宙海賊を制圧し自身の事はある程度は理解できたシュレン。とりあえず全員を縛りあげ宇宙戦艦の内部を色々と壊してから自身のロボット=ラジンアーマーの黒夜叉に乗り込んで宇宙を移動中。


「まさか・・・黒夜叉にこんながあったとはな・・・」


現在黒夜叉は通常の人型から戦闘機のような形に変形してケーシャを乗せて移動している。通常の形態とでは戦闘機の形態の方が段違いに移動スピードが速い。


「これは移動用にありだな・・・ケーシャ。近くの惑星まであとどのぐらいだ?」


携帯端末を操作してマップを確認するケーシャ。


「・・・あと数時間ぐらい・・・」


シュレンはケーシャに敬語を止めさせた。それはシュレン自身がケーシャの飼い主になったつもりが無いから。どうやら過去において辛い人生を送ってきた様子のケーシャは生まれながらにオッドアイとして家族から奴隷のように扱われていたらしい。


前世の自分の事は覚えていないシュレンだが前世の日本の感性は残っているためにケーシャに同情心を抱いたシュレン。飼い主としてではなく仲間として守ることを決意した。


「それにしても・・・これからどうしていくか・・・ケーシャはどう思う?」

「・・・分からない・・・私は指示に従うだけ・・・」

「・・・ケーシャ・・・君はもう奴隷じゃない・・・これからは自分で考えて行動するんだ・・・」

「・・・・」


ケーシャにそう言うシュレン。しかしシュレンの言葉は一切ケーシャには響かない。生まれながらに奴隷として命令され扱き使われてきたケーシャにはという経験が無い。


誰かに何かを言われた程度で人はそう簡単には変わらない。


「そう言えば・・・俺とケーシャはどういう感じだった?話したことはあるのか?」

「・・・ない・・・ビビってた・・・」

「ビビってた?・・・ケーシャを?」


コク


そうシュレンが聞くと頷くケーシャ。どうやらシュレンの身体の元の持ち主は相当ビビりで弱かったようだ。


「・・・なんか複雑だな・・・」


自分がビビりと言われたわけではないもののモヤモヤするシュレン。

/////

シュレンたちが宇宙を航海すること約1時間ほど経過。まだ近くの惑星までは1,2時間を要する。そんな時にどこからか声が聞こえてきた。


『ここには避難民しかいない!王族も貴族もいない!本当だ!だから見逃してくれ!』


突如聞こえてきた切羽詰まってそうなそんな声。


「なんだ今のは?」

「・・・オープンチャット・・・近くでなにかある・・・」

「つまり誰かが近くで戦ってるってことか・・・いや、戦ってるって言うより・・・」


ラジンアーマーのコックピットにはレーダーが搭載されており周囲にいるラジンアーマーや宇宙戦艦の探知が可能となっている。それを駆使しながらシュレンは声の方へ行ってみた。


するとレーダーに1台の宇宙戦艦を守るように存在する3体のラジンアーマー。そしてそれを襲う10体以上のラジンアーマーが存在することが判明。さらに先ほどの返答かのように再び声が聞こえた。


『王族であろうが貴族であろうが庶民であろうが我々レイティル連邦共和国には関係ない事である。いずれ宇宙すべては等しく我が国のモノとなる』

『な!?何を馬鹿な!?そんなことを各国が許すわけがないだろう!?』

『許す許さないの話ではない。これは決定事項だ・・・逆らうものは宇宙の平和を乱す反逆者として・・・処罰する・・・』

『処罰!?きさまら・・・貴様らは一体何様だ!?神にでもなったつもりか!?』


そう怒鳴るも相手は聞く耳を持たず命令が下る。


『・・・全機・・・目の前の者は反逆者である・・・抹殺せよ・・・』


その指示により10体以上のラジンアーマーが避難船に襲い掛かった。全員を殺し尽くすために。


10体以上いるラジンアーマーが一斉に銃を構える。それはラジンアーマーが持つ基本的な武器の1つのビームガン。ラジンアーマーの持つ武器として一般的には連射が可能なビームガンや高威力だが連射不可のフォトンブラスター。さらに金属製の剣や盾などの近接武器がある。

*ちなみに黒夜叉に搭載されているのは両肩にそれぞれフォトンブラスターが。さらに剣と盾と言うオーソドックスなスタイル。


数は相手が圧倒的に優勢で抗う事はほぼ不可能。そんな場所に突如としてがやってくる。


バシュン!


突如として襲っている側のラジンアーマーが光線にやられ爆発。現場は騒然となる。


『あー、あー・・・聞こえてるか?・・・さっきの演説は俺も了承できない・・・だから勝手に加勢させてもらう』


それを行ったのは当然シュレンであった。シュレンはそれまでの移動用の戦闘機モードから人型に戻しフォトンブラスターを放った。それはシュレン自身が独裁者のようなそんな言葉に賛同できずに反逆者の加勢をした証。


ギュン!


『な!?はやっ!?』


ザン!


突然の黒い機体の登場に仲間の死という予想外な状態。さらに黒夜叉の速さに驚きのまま1体は切断され死亡。


『殺せ!そいつは反逆者だ!』


その命令によって正気に戻ったシュレンの敵国となった兵士たち。未だに10体を超えるその数が一斉にシュレンに襲い掛かる。しかしそのすべてを掻い潜り防いで見せるシュレン。


盾で攻撃を防ぎ隙をついて剣で斬りつけ。時にはフォトンブラスターで敵を破壊し。中にはシュレンの動きについてくる者もいた。


『くっ!?なんだこの動きは!?どうしてこの速度でそんな精密な操作を!?化け物か!?』

『誉め言葉として受け取っておこう・・・どうやら俺は強いらしい・・・』

『くそっ!?だったらこれならどうだ!?!!』


そう言うと突然光りだす敵機体。それは多くのラジンアーマーに搭載されているリミッターを解除した証。リミッターは操縦者が操縦しやすくするために搭載しているものであり外せば莫大な性能の向上が成されるがそれを操作できるものはほとんどいない。


『死ねぇ!反逆者があああああ!!!』


先程とは段違いの速さにて襲い掛かってくる敵のラジンアーマー。確かにその性能の高さ故にこの男も操作は出来ないが仮にも隊長であり直線に進むのみであれば暴走を抑えられる。これにて勝利を確信している男。しかしシュレンの強さはこの程度ではない。


『・・・黒夜叉-つるぎ-・・・』


サン


シュレンは敵を視認し全速力で駆け抜け敵の剣を躱しながら一閃。


『ば・・・バカ、な・・・』


ボン!


敵のラジンアーマーはそれによって爆発した。


黒夜叉-つるぎ-はシュレンが全力で駆け抜けて一閃しただけの技。だがそのスピードはリミッターを解除した隊長機を凌ぐ速さで完璧に黒夜叉を操っての一閃だった。


シュレンの強さは世界最強クラスだった。

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