4 rubicon
学校の中を進み、教室に入ると、そこには大量の手紙が袋につめられているように見えた。
先生「これは……」
スパイ「メッセージだね、メールもある」
先生がスパイに振り返る。
先生「なんで、こんなにゴミ袋が……」
スパイがゴミ袋から開けて開いて、ため息をつく。
スパイ「だまされていたからだね、彼女も……」
そして、彼らは教室の中をみつめる。
世界が、じわじわとモノクロに変わっていく。そして、さっきまでいなかったものたちや人々が現れる。
学生が、教室で数多くの人から距離を置かれている。かれらの間にはバリケートのように机が積まれて、その周囲には手紙が散乱している。
白黒の世界でスパイが言った。
スパイ「加害者はたいてい、被害者でもある。そして……単に知らなかっただけで、被害者は加害者になる」
先生は拳をにぎりしめる。
先生「こんなの……あんまりですよ」
スパイ「先生らしいな……」
スパイは沈黙したあと、告げた。
スパイ「だが、終わらせないとな」
そういって、スパイは立ち去ろうと踵を返す。
先生は手を握りしめる。
先生「まだ、終わりじゃない、か……」
先生はゆっくりと教室にいる学生へと進む。背を向けていたスパイが振り向く。
スパイ「待って!待つんだ!」
そして、周囲の人垣をかき分ける。メールも避けて進む。
スパイ「学生に気づかれる!」
そしてバリケードをどかしながら先生が言う。
先生「いいえ、気づいてもらわなきゃ。また、文化祭で歌えるように……」
スパイがバリケードをどかす先生の肩に手をかける。
スパイ「ダメだ危険すぎる!」
そのとき、学生が先生とスパイに振り返る。先生とスパイは飛び上がるように身を引いた。
そしてモノクロの風景は本来の色に戻り、学生がどこからともなく銃を構えてくる。そして、周囲にいた人々も僕らへと振り返る。
スパイ「逃げよう!」
スパイは近くにあった手紙の入っていた袋を手に廊下に飛び出す。
先生も驚いてスパイとともに廊下へと飛び出す。
学生は銃を構えていたが、撃つことはなかった。彼らを見つめて、忌々しく告げた。
学生「追いかけて、はやく……」
学生の声に従い、彼らは追いかけ始める。学生はよろよろと立ち上がる。そして胸に手を当てる。そして先生の声が聞こえる。
先生「まだ終わりじゃない、か……」
学生「先生たち、なんでここに……」
学生は首を振る。
学生「でも、侵入者は侵入者」
そして誰もいなくなった教室から、彼女は銃を構えてメールを踏みつけながら出ていく。
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