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 学校の中を進み、教室に入ると、そこには大量の手紙が袋につめられているように見えた。

先生「これは……」

スパイ「メッセージだね、メールもある」

先生がスパイに振り返る。

先生「なんで、こんなにゴミ袋が……」

 スパイがゴミ袋から開けて開いて、ため息をつく。

スパイ「だまされていたからだね、彼女も……」



 そして、彼らは教室の中をみつめる。

 世界が、じわじわとモノクロに変わっていく。そして、さっきまでいなかったものたちや人々が現れる。

 学生が、教室で数多くの人から距離を置かれている。かれらの間にはバリケートのように机が積まれて、その周囲には手紙が散乱している。

 白黒の世界でスパイが言った。

スパイ「加害者はたいてい、被害者でもある。そして……単に知らなかっただけで、被害者は加害者になる」

 先生は拳をにぎりしめる。

先生「こんなの……あんまりですよ」

スパイ「先生らしいな……」

 スパイは沈黙したあと、告げた。

スパイ「だが、終わらせないとな」

 そういって、スパイは立ち去ろうと踵を返す。

 先生は手を握りしめる。

先生「まだ、終わりじゃない、か……」

 先生はゆっくりと教室にいる学生へと進む。背を向けていたスパイが振り向く。

スパイ「待って!待つんだ!」

 そして、周囲の人垣をかき分ける。メールも避けて進む。

スパイ「学生に気づかれる!」

 そしてバリケードをどかしながら先生が言う。

先生「いいえ、気づいてもらわなきゃ。また、文化祭で歌えるように……」

 スパイがバリケードをどかす先生の肩に手をかける。

スパイ「ダメだ危険すぎる!」

 そのとき、学生が先生とスパイに振り返る。先生とスパイは飛び上がるように身を引いた。

 そしてモノクロの風景は本来の色に戻り、学生がどこからともなく銃を構えてくる。そして、周囲にいた人々も僕らへと振り返る。

スパイ「逃げよう!」

 スパイは近くにあった手紙の入っていた袋を手に廊下に飛び出す。

 先生も驚いてスパイとともに廊下へと飛び出す。

 学生は銃を構えていたが、撃つことはなかった。彼らを見つめて、忌々しく告げた。

学生「追いかけて、はやく……」

 学生の声に従い、彼らは追いかけ始める。学生はよろよろと立ち上がる。そして胸に手を当てる。そして先生の声が聞こえる。

先生「まだ終わりじゃない、か……」

学生「先生たち、なんでここに……」

 学生は首を振る。

学生「でも、侵入者は侵入者」

 そして誰もいなくなった教室から、彼女は銃を構えてメールを踏みつけながら出ていく。

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