epilogue

学生:


 私は教室でひとり、崩れたバリケードをみつめる。そして、ここにやってきた彼らを思い出す。やがて、伝説になっていく彼らふたりの先生を。


 泣いているひと、悲しんでいるひと、あきらめているひと。

そんな私たちのスマートフォンやパーソナルコンピュータに先生たちはやってきて、私たちに思い出させてくれる。

 ほんとうにしなければならなかったことを。


 私は彼らが持っていこうとしていたメッセージの袋を段ボールに詰める。そして段ボールを配送業者に手渡す。

 配送業者を見送った私は、手に持っていたCDを見つめる。


 彼らは思い出させてくれる。

 自分にとって、本当はとっても、大切なものを。


 私はまた窓を開け、そして彼らふたりが去っていくのを見つめる。


スパイ「まだ、終わりじゃない、ねえ……」

先生「受け売りですよ、誰かさんのね」

スパイ「さあ、誰だろうねえ」

 そうして先生ふたりは笑い合う。


 この奇跡を成し遂げるその代わり、彼ら先生は世界に知られてはならない。

 先生たちは、私たちの秘密のヒーロー。

 私たちの夢を、幻想ファンタジーを、だれよりもあきらめない、ふつうのひとたち。


 スパイ・ティーチャー。

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スパイ・ティーチャー 倉部改作 @kurabe1224

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