料理迷宮 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト/俳句部門二十句連作作品

平 健一郎 (たいらけんいちろう)

料理迷宮 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト/俳句二十句部門参加作品

三月やかぶりつきたる握り飯


初恋といふには淡し桜餅


焼鮎の粗塩の腹くわれけり


一粒も残さぬ茶漬飯の春


草餅や優しき声の国訛くになまり


玉葱の剥かれるキッチンまでの距離


人参にシチューでよいか聞き洗ふ


新婚やお好み焼きの春キャベツ


朝涼の味噌汁の香をたぎらせよ


こんがりと焼くトーストに夏野菜


光りあふ珈琲ゼリー薄暑の夜


苺食ぶ火の唇に求めけり


添えられし冷やし中華に潮風も


馬車にせぬ南瓜の煮ゆる日暮れ時


煙もうもう焼鳥の飽かざりき


煮凝の炊きたて飯にほだされて


脂ごと裂く箸先や焼き秋刀魚


ご馳走は語り合ふものおでん鍋


鍋鳴らし炒飯ぱらり小鳥来る


蕎麦すする鯨は海をめぐりけり




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

料理迷宮 第2回カクヨム短歌・俳句コンテスト/俳句部門二十句連作作品 平 健一郎 (たいらけんいちろう) @7070ks

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ