第3話・君のこと

慣れない夜の街。駅前で待つ私。

ライブに誘われて、断れない圧で承諾してしまった。

駅前で待ち合わせ。ちょっと早くきすぎたかな。

ライブなんて初めてだ。ギターやってるのに行ったことないのかよ!って思うかもだけど、そういう人はいっぱいいる。・・・いるよね?

ライブハウスとかルールとかよく分からないから特別服とか気にしないで来ちゃったけど大丈夫かな?

自分の服装チェックをしてると三善春風が来る。

「あーごめんなさい遅れましたー」

「いや全然」

「先に来てるとはー気合い入ってますねー」

「そ、そう?」

改めて自分の服装チェックをする。

三善春風はデニムにTシャツ。何かイメージと違かくてギャップ萌え?

「さぁ行きましょうか!楽しみですねー」

学校の時よりテンションが高いな。

「そ、そんなに好きなバンドなんだ?」

「あーまぁそうですねー。それは別としてもライブハウスの雰囲気も好きっていうかー」

「へ、へー。私初めてだからライブハウスって。色々よろしく」

「あーはい!」

話してるうちにライブハウス到着!地下なのか!無事地上に戻れるだろうか・・・・。

「こっちですよ二織さん」

チケット代を払いドリンク引換券を貰う。

ライブハウスはそこまで大きくはなかったが独特の黒の雰囲気と機材と地下の空気感、私が今まで知らなかった世界ではあった。

こんな空気もあったのか。

「二織さんこっちです。飲み物何しますか?」

「えーとじゃあコーラで」

「あー私はカシスー」

「おい!未成年!」

「冗談ですよー」

大丈夫かコイツ!ちょっと怖くなってきたぞ。

「大丈夫ですか?緊張してます??」

「色んな意味でな」

ライブが始まる。三善のお目当てのバンドは5組目で出てきた。

そのノリっぷりはまた三善の印象を変えるものだった。

どれが本当の三善春風だ!?と思わせる。

とまぁさっきから三善のギャップに驚いてるけど、私は三善の事何にも知らないんだよなぁ。

「はぁ~!最高だったー!!どうでした?二織さん!」

夜の帰り道を歩く。

「うん、良かったよ」

「それだけですか??」

「いやまぁ楽しかったよ」

「それなら良かったです!」

「ホント、な」

「?」

「いやぁ学校とだいぶ違うと思ってさ」

「あーそれはーそういうの苦手で」

「今の三善さんも私は良いと思うけど」

「じゃあそれだけで良いですよ」

それだけ?私だけって事?

また三善のよく分からない所が増えた。

そのあと最寄り駅で別れて、家に着く。

その間思い出すのはライブのことではなく三善の事ばかり。

それはきっと人生初ライブより三善のギャップの方が衝撃的だったからだろう。

きっとそうだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

モーメント2 〜音の先の君へ〜 藤いろ @willwar

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ