第2話 ベアトリーチェ=ヴァンピール


―――更に5年後―――




 俺ガイザックは、10歳になった。

 あれから俺はこの集落の中で最速の部族統括となっていた。


 まだまだ父上には敵わないが、今では姉上であるミラディスを息を切らさずに足らえるほどになった。


「ガイザックは……あと5年でこの集落を出るんだよね?広い世界を見に……」


「うん、ミラディス姉さん。だけどいずれまた帰ってくるよ。だから待っててね」


「そうだね……今のアンタならあの時話した事も成し遂げられるよ。その間私はこの森の勢力圏をアンタがいない間に掌握してるから、その時はまた抱いてよね・・・・・・・♡」


「うん、約束するよ。まぁでもその間は楽しもう……でも俺が言ったあとのその時には、他の子もいるだろうけど大丈夫?」


「大丈夫だよ♡私を抱けるのはガイザックだけだから♡」


 そう言ってくれるミラディス。

 俺は、姉上であるミラディスをこの間抱いていたそのほら、あの爆乳を見てたら抑えられないんだよ。

 姉弟だけど俺も男の子だもん、垂涎食わずは男の恥って言うしね!!仕方ないよね!!


 そんなこんなで、俺はこの後のことを考えながら、ミラディスと組手を続ける。



 ✡✡✡



 一通りの訓練を終えて、俺は彼女がいるこことは対照的に暗い森にある館へと来ていた。


「ベアトリーチェ!!また来たぞ!!もうそろそろ出てきてくれてもいいんじゃないか?」


『―――――――』


 俺の問いかけに返答せずに視線だけが突き刺さる。気配はこの森の館全体に広がっていて何処にいるのかも俺には分からない。


 だが、今回で俺はあることを習得した成果を、この館全体に張り巡らせる。


「―――――見つけた。」


 俺は氣による応用で気配が霧散しているであろう館で、1点の魂とも取れる存在を感知する。


 自然そのものを取り込みそれを生命の魂がハッキリとしている者にぶつけて発見する術を習得したのだ。おかげで魔力のコントロールもそれに平行して魔法使いとしての域を越えつつある。


 俺は全力で館のある人部屋に向かって一直線する。そしてそこに居たのは


「……ようやく君を捕まえることが出来たよ。ベアトリーチェ」


「もうそんな域に行ってしまったのね。わたくしの30分の1の年齢で、凄まじい成長速度をしてるわね。」


 そう言う、どう考えても、俺と同じぐらいの年に見える容姿をした。俺達と対になる存在の吸血鬼のベアトリーチェが言い放つ。


 2年前に、俺は不思議な気配をした館を見つけて、父上や姉上にあそこに何があるのかを聞いた。


 その時の父上の表情は、苦手なものを突きつけられたような表情をしながら渋々答えてくれた。


『あそこには、吸血鬼族の姫が自ら封印するようにして作られた館なのだよ。 俺がこの集落の長になった頃に興味本位でいって酷い目にあったのを今でも思い出すよ。』


 そう言って語ってくれたのは、始祖の吸血鬼の血を受け継いだ存在の事だった。

 最初は何それ!超かっこいいじゃん!!なんて思っていたが、次第に行くにつれてどういう訳か気配そのものが館全体では無いのだと思って訓練を兼ねていつか捕まえてやると思いながら、2年間修行を終えて直ぐに館に赴き彼女の気配を探りながら一人で語りながら掴み取れない気配を追う。


 そして1年そんな事をしていたら、彼女は諦めが悪い俺に対してようやく言葉を交わしてくれる。


『もう、ほっといてくれないかな?しつこい男は嫌われるよ?』


 そういった事は、なんとも言えない声質だった。妖艶ともとれる言葉には魔力が流れていてそれでいて、何か胸に突き刺すような爽快感を思わせる鈴のような音色を奏でていた。


 俺はその言葉に対して


「ウオオオオオオオオアアアアアアアアアッッッッ!!!!!

 超イイ声だな!!これは是非ともベアトリーチェの姿が見たくなったぞ!!」


『―――――――』


 そんなことを言ったら何故か消失感を醸し出すような気配を感じて、あ、これ引かれてるはなんて思ったのは、若気の至りだと思う。うん


 そんなこんなで、色々と無駄に喋る俺に対して何も言うまいと決意したかのようなベアトリーチェは、体感的に隠れるように以前よりも強く霧散するように気配をばらつかせた。


 だが、今俺は、ようやくその封印という方をしたであろうベアトリーチェ本人と対面している。


 まず、言おう。めちゃくちゃ美しい髪、黄金の髪は絹のように一本一本がきめ細かく、そして何より整えられた容姿、それは完成された美そのモノと言える程に言葉では表せなかった。


 赤い目は、魔眼ように瞳の中に紋様が刻まれていた。その目を見ていたら、彼女に惹き込まれるような感覚に襲われる。


「貴方、随分と魔法耐性があるわね。」


 その一言で俺は意識を正常に戻す。それは感覚からして―――


「――その目は、魔眼 ―― 魅了の力が宿っているのか?」


「正解よ。これは制御出来ないのよ。だけど貴方は今まであった中で、凄まじい耐性を持っているようね。」


 そう言って、捕らえられたにも関わらず、俺をまじまじと見つめてくる。それは無表情なのに興味が尽きない様な子供に似た無垢な瞳が見えた。



〈お知らせ〉


この作品は、最終から土日更新となります。

次回は六月一日からとなりますのでよろしくお願いしますm(*_ _)m


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鬼の王〜最凶の体と精神を手に入れたので大陸制覇してハーレムを築く〜 四季想歌 @ro-renkreuz39

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