第43話 あとがき

 この話は探偵ものですが、下敷きになっているのはハードボイルドの諸作品です。

 ダシール・ハメット、レイモンド・チャンドラー、ハドリー・チェイス、ロス・マクドナルドなどを昔、よく読んでいました。

 翻訳でしたが、それでも読みやすく面白いので飽きることはありませんでした。

 いつか、自分でもこういう小説を書いてみたいな、と思いましたが当時は書いてはみるもののやはりうまくいきませんでした。

 人生経験とまではいえませんが、仕事での人間関係や友人家族との時間を経た関りと言った経験が必要だったのかもしれません。


 ハードボイルドの特徴は簡潔な文章と、登場人物の洞察と描写、そしてほんの少しのバイオレンスです。

 さじ加減は作家それぞれですが、中でも簡潔な表現は難物です。

 やったこと、言ったこと、感じたこと、考えたことを記すことが小説では重要なことですが、この中の「考えたこと」を極力控えて描くのが、ハードボイルドの文体の特徴です。

 ハメットと相互影響があったと言われるヘミングウェイも、この手法で小説を書く作家ですが、この方法で書くのはやってみると実は難しいのです。


 この作品でも、登場人物の考えていることは書いていますが、話が分かりにくくならない程度に抑えて書きました。

 主人公の名無しの冒険者も、見ているものや聞いているもの、やっていることを主として描くようにしました。

 あとは情報に関する書き方に関するところで、できればもう少し洗練されたやり方ができればよかったのですが、説明的になってしまったのはこれからの課題です。


 長々と言わずもかなを書いてしまいましたが、最後までお付き合い頂いた方々は楽しんで頂けたでしょうか。

 応援のコメントやご紹介して頂いたことはとても嬉しかったです。またたくさんのフォローもして頂き、色々な作品に出合うことも出来ました。

 本当にありがとうございました。

 また、この「名無しの冒険者」は書いてみたいと思っています。

 彼も依頼が無いと食っていけませんので。

 

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さようならリリア~名無しの銅級冒険者は失踪した悲運の侯爵令嬢を追う。 一ノ瀬 薫 @kensuke318

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