第174話 ハイタッチ
「さっきまでの威勢はどうしたのかしら?弱ってきているわね」
「うぬぬ……」
普通に短剣を避けようとすると若干切られるから大袈裟に避けることで短剣が当たらないようにはなった。
ただ、大袈裟に避けると隙が大きいからそもそも避けれなくなったりするし私が攻撃するタイミングが無い。
「あ、れ……?」
急に身体に力が入らなくなり私は膝をついてしまう。
「思ったよりも効果が少ないわね……耐性でも持っているのかしら」
「麻痺……!」
久々に麻痺という表示がHPの近くに表示されていた。
ここでの状態異常はマズい!耐性があるから動けないってわけじゃないけど力が出なくて動きにくい。
パラが回復してくれたら治せるけど既にパラはスロースタートの効果が無くなってMPも底をついていた。
「あ、はは」
なんとか力を振り絞って攻撃を避けようとするが大袈裟に避けれないので擦り傷は負ってしまう。
ユウリとカイリ、帰ってこないかな……本気でマズいんだけど。
「なさけない……状態異常の対策くらいしときなよ」
「うぷっ……」
後ろから声が聞こえたと思ったら口の中に何か飲み物?を詰め込まれた。
飲んでいいものか分からないが声の主的に私が死んだら困るはずだし飲んでいいはず……。
「あ、力が元に戻って――」
飲み物自体はあんまり美味しくなかったけど力が元に戻り麻痺の表示も消えていた。
「スノピ!ありがとう!」
「助けたのはあくまで勝つ為だからね!」
そう、声の主はスノーピンク。どうやらアルテナさんとの戦いに勝って私のところに来てくれたらしい。
「《翼の槍》」
私が麻痺を治したと分かるとすぐにラファエルは羽の攻撃をしてこようとする。
「あと20秒しか無いからラビリルは私の後ろについてきて」
「了解!」
何か知らないけど制限時間があるスキルを使っているみたいでそれももうすぐ終わっちゃうらしい。
私は羽の雨に向かって突進するスノーピンクの後ろをついていった。
「《跳ね返れ》」
なんとスノーピンクに当たりそうだった羽が逆にラファエルに向かっていった。
「く……解除」
跳ね返ってくる羽をラファエルが何かしたのか何事もなく消え去る。
その間もスノーピンクは全力でラファエルに近づき私もついていく。
「この距離なら行ける!《ステータスコピー》……からの!《お互い動けなくなる》さらに《ステータス弱体化》」
「なっ!」
途中で私が追いつけなくなるくらいにスノーピンクが速くなったと思ったらラファエルに触れた瞬間に2人ともピタリと動きを止めてしまった。
スノーピンクの言葉通りならさっきのステータスコピーでラファエルのステータスを真似て速くなって触れてからお互いが動けなくなった感じなのかな?
「か、身体が動かない……!」
「私も動けないけどね、でもそろそろラビリルが到着するよ?」
なるほど、動けない間に私が倒すということだね!
……ってかスノーピンク強くなりすぎじゃない?
「あと数秒しか無いから一撃でお願いね」
「じゃあ、首をスパッとやっちゃおうか!」
私はいつのまにか腰に戻っていた短剣を取り出して手に取りラファエルの首目掛けて振った。
「や、やめ――」
普通だったら思いっきり攻撃しても切り落とせないだろうラファエルの首をスパッと切る。
ラファエルの首が宙を舞うと同時にスノーピンクが使っていたスキルの効果が切れたのか身体の方もバタリと倒れた。
「スノピー!」
「……ん」
パチンっ
私がスノーピンクに向かって大きく手をかざすと分かってくれたようでしっかりとハイタッチしてくれた。
破壊衝動が抑えられない少女はVRMMOの世界で破壊の限りを尽くすようです 千矢 @Kaochihosi
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