第9話 閑話休題② ライトノベルをぶっ潰せ


〇皆さまお久しぶりです。

しばらくぶりですね。この創作論シリーズは小説執筆の傍らに気まぐれに更新しているので、悪しからず。

 さて、今回は題して”ライトノベルをぶっ潰せ”です。今まで適当に語って来た内容はまぁ、集約すると全部”アンチライトノベル”になるので。そのまとめ的な話です。


〇ラノベは何故揶揄される?

・ラノベの定義

ラノベは近年出て来たジャンルですよね。ていうか、そもそもライトノベルの定義というのは今日まで示されていないんですよね。文学というジャンルが非常に腑分けしにくいというのもありますが。

 ここでは近年のライトノベルを”デフォルメした即物的な快楽を提供する小説”と定義します。これはどういうことかというと、前からの回でも示した以下の特徴を持つ小説です。

 とにかく展開が前倒し。葛藤や矜持を排した表面的な人物描写。特定の界隈にしか通じない世界観を下敷きにしたストーリー。

ここでは、これらを持つものをライトノベルと呼称します。


・なぜ、ライトノベルはこのような形になったのか?

 これはもう、それ一本で研究論文が書けてしまいそうですね。文学の研究分野において、ライトノベルは考察されているのでしょうか?私は史学が専門なのでわかりませんが。論文検索エンジンでざっと見てみたところ、読者の心理などラノベを通した背後の人物に主眼を置いた研究が多いように感じます。また、言語文化の面から考察している物も多いですね。ライトノベルそのものを、純文学や他の娯楽小説と比較する研究はあまり見ませんね。すでに十分研究されつくしてしまったのでしょうか。


ともかく、そう言った学術的な研究動向は置いておいて、今回はラノベそのものが今持つ特徴から考察してまいります。とりわけ、今現在ライトノベルと呼称されている”ファストノベル”(近年の焼きまわし式のラノベ)を


・ライトノベルの堕落

よく、現在のラノベを擁護する意見として”おもしろいから良い”とか”既存の文学から進化している”というものを見かけますが、私はここではっきりそれらの意見にNOを突きつけます。はっきり言います。ライトノベルの進行は明らかな文学の後退です。もちろん、自由な話造りや新しいメディアミックスビジネスを生み出した点では評価すべきところもありますが、すでにそう言った新しいムーブメントの時代は終わり、ライトノベルは”斜陽”を迎えようとしています。

これは、単に市場規模の後退というだけではなく前回までに示したように”焼き直し”の時代の到来がもたらされたことにあります。


ライトノベル、という括りだと誤解を生みかねないのでもう一度ここで記述しておくと、すでにライトノベルは即物的な快楽を提供するだけの”ファストノベル”の時代に突入しているのです。私が批判するのはこの”ファストノベル”です。


・状況説明の欠如と喜劇化のいびつな共存

既存のライトノベル、とりわけ今現在ランキングを占拠したり書籍化した作品を俯瞰してみると明らかに欠如しているのはキャラクター以外の描写です。彼らの周縁についての記述があまりに少ないのです。これは、ライトノベルがデフォルメ化へ向かっている証拠です。黎明期ライトノベルの金字塔こと”涼宮ハルヒ”は今読んでみても一般小説と大差ない文章を持っています。一方で無職転生などはもうすでに、いかにもファストノベル的な特徴が見受けられますね。しかしこれらはまだ、前時代でした。本当の終わりはそれらの様な小説の後追いしかできなくなってからです。


・斜陽、あるいは危機に立つインターネット小説

前述の様な特徴を持つ小説が増えて、尚克それらの再生産ばかりが増えるようになってから、ライトノベルは後退しました。娯楽小説の極北としての地位を失い、大衆迎合の果てにその鋭ささえも鈍ってしまったのです。前に、此処のコメントにも書いている方がいらっしゃいましたがすでにライトノベルはレッドオーシャンなのです。


〇この後のライトノベルに対する提言

・面白いものを見失うな

では、ライトノベルやインターネット小説はこのまま廃れてしまうのか?

私はそれに対してもNOと言いたい。そもそも、この文章は面白かったあの頃のような小説をもっと多く読みたいと思ったから書いたのです。そのためには、ブレない芯を持った小説を書くことが必要なのです。つまりは、新しいムーブメントを起こせるだけのエネルギーを持った小説を。そのためには、自分が面白いと思った物は突き詰める必要があります。決して大衆に迎合しようなんて考えないでください。

貴方が面白いと思うものはこだわるだけこだわってから出すべきなのです。

折れるな創作者!


以上。



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折れるな 創作者 ハンバーグ公デミグラスⅢ世 @duke0hamburg

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