対魔国血戦

始まりの序章

リアナは、あの戦いが頭から離れなかった。

あの、ノートという男について、考えることがあった。


「黒い魔力」なんて、数千年前に書かれた伝記にしか書かれていなかった。

その黒い魔力の持ち主は、人ではなく、深淵の螺旋の竜ウロボロス。つまり、人が黒い魔力を持つなど例外なのだ。

だが、リアナはその目で見た。


恐るべき力をもったその黒き魔力を。


リアナは、一つの装飾された瓶を開け、小さな水晶を2つだす。

そして、呪文を唱える。


「|我が求める者に伝えよ。我に一つその答えを聞かせよ。我の願いを叶えよ願う。結晶。《Tel tho s me.  L m gi yu ne ar. he tha y wih wi co re. cal.》」


その瞬間水晶が浮かび光り消える。


「存在してはならぬ者……。私は、貴方を消す。必ず」

リアナは決意した。この国のため、彼を消すために。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

シルフィードから、記号変換コードアップデートという事が、俺が寝ていた三日の間に行われていた事を知った。

「オブ・ザ・キル」という単語が変わったらしい。

詳細を問いたが、「考えろ」だそう。なんか強化されたらしいが…、ムカつくあの女。


そして、レジェンドコードというものを手に入れたらしい。

レジェンドコードは世界に四つしかなく、発見取得はコード取得回数とは別となる。なので残り三つも手に入れることが出来る。

発見できればだけど。

さらに、普通のコードが最大十二個まで使うことが出来るようになった。

これで、新しい技が増えるってわけだ!

支配者心が揺さぶられるな〜。


っと、そろそろシステムローズも本格的に動き出した。

当分俺も支配者モードにしよう。


そして、記憶が戻った俺は、今、システムローズ特製機関車に乗っている。


理由は、亜之魔核アノマコアの収穫と、戦艦武蔵の主砲運搬である。アノマコアは俺の使っている刀や、オーバーローズの防壁など、戦艦大和とかにも使っている世界最高峰の頑丈さを持つ強力な宝石である。

そして大和を作った時に、クッッソムズいってことが分かった。

つまり、別々に作ってくっつけるってことにした。

で、俺は今さっき颶風から主砲副砲を回収し運搬中だ。


運転席の後ろの席で俺は海の景色をみる。


「フォッフォッフォ。ノート様、なにもない機関車ですいませんな〜」


彼の名前は「セバ・グランド」。肉塊になっていた人間で、七色の音ナイントルクの一人だ。彼は素材の運搬などをしてもらっている。


「いや、グランドは良い働きをしているよ。ナイントルクのなかでも、まぁまぁな実績だ」


「フォッフォ。そう言ってくれると有り難いでございます」


糸目で、現世でよく見る作業服、尖ったような白い髭。作業服を覗くと実に執事のようなおじいちゃんだ。


「ノート様っ!見てくださいこの私の上腕二頭筋を!あの大砲なかなかな筋トレ道具になりますぞ!」


後ろのドアから顔を出してきたのはベルドだ。

初めてハルカラ村という村をしって、行ってみると、なんとフェリアとフェラン君の故郷だった。


そして、村長であるベルドにカクカクシカジカと説明すると、泣きながら感謝してきた。


そこで、一つ提案をした。


「ほとんど休みだけど、手伝いしてくれるなら俺の国に移住しない?」的な。


っていったら皆OK。普通ちょっとは嫌がるとこだけど。

ハルカラ村は結構な不作で、食べ物がなかったらしい。

俺の国は俺の回復魔法の応用で、急速栽培ができる。


設置式魔法装置アーティファクトで魔法はずっとそこに発動しっぱなしにできるし、物は魔力水で出来るから別に金なんていらない。

なんなら俺一人で何でも動かせるし作れる。


けど、俺は俺の夢のために自国の領地広げるってわけ。


というか、武蔵の主砲を持ち上げて筋トレって……人間離れし過ぎじゃね?


ベルドはフェリアとフェラン君が結婚したことを知ると、二人に抱きついた。

まぁ、良い家族じゃん。


「それは良かった」


「いやはや、改めてっ!娘とフェランを生き返らせてくださりっ!ほんっっっとうにありがとうございますっ!」


ベルドが土下座する。


「まぁ、俺も人が死ぬのは好きじゃないからね。別に殺せるけど」


「なんと慈悲深い……感動です!」


手をたたくベルドに対し、ある事に気付いた俺は微笑み手で合図をする。

するとベルドがビシッ!っと姿勢を直し、旗をとる。


そして、海へ向かって手旗信号を送る。

 

(こちらノート。航行訓練は異常あるか)


大和だ。


俺は、カノープスに大和及び第十二艦隊までの司令官を仮ではあるが任命した。つまり、連合艦隊である。

それで、航行訓練を実施した。


大和も手旗信号でこちらに応える。


(こちら大和。航行訓練異常なし)


「ノート様、異常ありません」

ベルドがドアを開け言う。


「そうか、ならいい。それでは、先に花港ばこうでまっててくれ」



「はい!」

「了解しました」


二人の声がかぶる。


そして、俺は翼を作り大和へ向かう。

左舷甲板へ降り立つ。

すると、緑と赤の軍服を着た三人の女性がお出迎えをしてくれた。


青竜、赤竜、黄竜だ。

こいつらはそうあかきい、って感じで色で呼んでいる。


「「「主様!ようこそおいでくださいましたー!」」」


「出迎え御苦労。雷撃隊や爆撃隊はまだ追いついていないのか?そろそろ兵器を試したい」


「そろそろですね。全二十五隻。それぞれ十機づつ発艦しているので、約二百五十機来る予定です」


黄がメガネを人差し指で上げながら言う。


「主様〜!あおね、お菓子作ったんだ!食べて食べて!」

「後でもらおう」

箱の中には緑と紫色のうごめく物が入っていた。

「あ、それなら私の作ったチョコレートも……」

「後でもらおう」

普通のチョコレートだ。

「こら青、赤、主様が困ってるでしょう?あ、それなら私が作った日国の「日菓子」と呼ばれてるものでも……」

和菓子的な物があった。

「後でもらおう」


……コイツラは一体何をしたいんだ?


「とにかく、航空機が来るまで、少し大和を見物させてもらう。お前たちはもとの持ち場に戻れ」


「「「はいっ!」」」


三人は艦橋に入っていった。

さてと、俺は少し散歩しようかな。


その時だった。

ノートの目の前に、水晶が現れた。


「……?水晶……?」


そして、次の瞬間声が聞こえる。


「ガヴァ・ノート。貴方の目的は一体なんですか」


俺は、聞き覚えのある声のする水晶に驚いた。

白竜騎士団団長……。一体何のようだ?どうやった?


「目的……か、私達の目的は世界の解放だ。お前たちは見ておくだけで良い」


「……私の声が聞こえる水晶がいきなり現れて、驚かないのですね。まぁいいです。あの戦いは見事でした。貴方に勝るものは、この世界にいないも同然……。だから、貴方を消します」


「ほぉ……?この私を消すと?」


「貴方は居てはいけない存在です。それほどの力を持っている事は、この世界の脅威。それに、世界征服でも目論んでいるのでしょう……?」


「ははっ!何を言うか、さっきも言っただろう?我々の目的はこの縛られた世界の解放。お前達は見ておくだけで良い……と」


「我々?仲間がいるのですか」


「あぁ、優秀な配下だ」  


「どのような汚らしい手口で仲間を増やしたのかは知りませんが、その方達もすぐに助けます」


「ふっ……。そんな事を言っていながら、こんな特殊水晶なんかを使い私に遠隔で喋りかけるということは、私を恐れているのではないか?」


「………っ!?なっ……!」

ドンッ!っと足を思い切り踏み下ろす音が聞こえる。


「そんなことは無い!居場所が分からないからです」


「お前は「消さなければいけない存在」、「貴方は居てはいけない存在」っと言った。つまり、私を恐れ、脅威になる事を恐れたからだ」


「っ!?…………」


「まぁ、いい。お前達が我々を消そうとするなら、手向かってやろう」 


俺はその水晶を粉々に握りつぶした。


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


リアナは拳を深く握り、水晶を割る。


「ふざけないでください……ガヴァ・ノート……!」


青い魔力がリアナを包み込むようにあふれる。

その魔力は語る。


「平和なる世界へ己が導け」と


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


俺は左手を顔に添える。


「フフッ……世界を凌駕する私の力が、この世界を深淵へと導く。さぁ、始めよう。我等オーバーローズ、対敵国アトラス、狂気の国魔国の、対血戦・・・を……!フフ、フフフフッ、フハハハハハハ!」


晴天の空の中、偉大なる支配者の歌声のような笑い声が、響いた。

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縛られない支配者になるために…! 八風ゆず @Yuz122

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