大丈夫という呪い

 結末まで読み通すと序盤の文章が効いてくるし、タイトルが意味するところの解像度も増す作品だと思いました。

 「天使」といわれてピンとこない読者さんでも、恥ずかしくて家族や友達には明かせないけれど大切な心のよりどころ(アイドルやアニメキャラ、思い入れのあるぬいぐるみなど)を持ったことがある人、そしてとりわけ、やむにやまれぬ事情で大切なものと別れざるを得なかった人なら共感するはず。

 それら「天使」達は、どんな苦境でもあきらめない強さを讃える歌を唄い、希望に満ちた真っ白い楽園へと我々をいざなってくれますが、しょせん手の届かぬ別世界の存在なので、現実という名の地獄に囚われた死すべき魂を救い出すことはできないのです!!