ヒップホップ的実験作

時と場所を越えた3つの出来事が1つに収斂していく話。
それぞれのエピソードは、史実をほぼなぞっており、説明的なものです。
(ただし、原爆投下の時間が異なっているのは、どうしてなのか、わかりませんでした)
しかし、それが最後でひっくりかえるのが面白いところだと思いました。
最後の解体シーンはまるで死体化生型創世神話のようでもあります。
そう、この話は神話なのかもしれません。少しずつ史実と異なっている話も一種の神話の異伝としてとらえるべきものかもしれません。

これを読んだとき、一種のヒップホップ的サンプリングのようなものだと思いました。
先にも述べたように個々の事件は基本的に史実をなぞったものです。しかしながら、それを切り取り、配置することによって新たな作品が生まれてくるのは、様々な音源を切り取り、つなげていく中で新しいものを生み出していくヒップホップ的なものであると思います。この創作のあり方、大変興味深かったです。