死神より、呪いを込めて

めいき~

臨魁咳暴(りんかいせきばく)

恋い願い、絡めとる。


奈落を見つめる眼下、空爆の様に空売りせむ。



群衆達が値を戻せと叫ぶが、違う群は値を飛んで逝けと。


せめぎ合い、絶えず願い続ける。

それでも、生きていたいと。


弾も命も武器も全てが数字の世界で、糧となれと。


紅い隈に、紅い眼で。

迷えば死ぬと、何処が天井なのかと。




今生に別れを告げ、ただそれだけが難しい。

この身も朽ちるというのなら、迷いは不要。



喪服に血の様な花束を髪留めに、あがきもがく亡者を無心で駆り。

数多の蝋燭達が、淡い光で照らす。



追い風を背に、怒りと悲しみの声が舞い。

それでも、誰かを地獄に送る。


黒い企業達が手ぐすねひいて、既得を蝕むもの達が笑う現実へ。


そこに戻りたくない亡者達が、そこから助かりたいものを削りぬく。



数多の努力を無価値にし、数多の優しさを食いつぶし。

数多の怨嗟を無限に生み出して、誰かの命を燃料に。



それは、欲望の波。


サーフィンの様に波に乗り、ゴールを目指す。

押さえつけ、しがみつき。



落ちたものは、奈落の藻屑へ……。



長く波に乗るものほど、その怖さを知っている。

昨日まで、後ろにも前にも横にも友が居たのに。



藻屑と消えて、死体も残らない。



探し続け、惑い続ける。

逃げ惑う、怨嗟が木霊して。



絶望は沢山あるが、希望を見せる邪悪はもっとある。



探すのさ、今ここで。移ろう影に、縫い描く。

遅れず飛翔し、命を賭け。



今日も見知らぬ誰かが、ババを掴んで黒い海へ消え。



軽くパチリとウィンクして、舌をだし。

ざまぁ☆彡と笑い、今日も安置室代わりの海へ。



お化粧じゃ隠せない、だって欲望に性別なんてないもの。

散っていった、数多の星が流れる空を見て。



「私も、いつか流れていくのかな」と口元だけでにんまりと。

その時までは、誰かの肩を掴もう。


声もなく、気配なく、姿なく。

私は、アナタをつかまえる。



<死神より、呪いを込めて>



(おしまい)

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