『Hell Tears』は、過酷な未来世界を舞台にしながらも、かすかな希望と絆の炎が静かに灯り続ける群像劇です。
朽ちかけた宇宙船、旧時代の遺物、そして命を削る兵器。そのすべてが、登場人物たちの儚さと逞しさを浮き彫りにし、無言の叫びとなって胸を打ちます。無垢な強さを秘めた少女フランと、彼女を迎え入れたモブたちの関係性もまた、家族という言葉では片づけられない深い共鳴に満ちており、読めば読むほどその静かな熱に引き寄せられていきます。
涙のように滲む希望を胸に、彼らは次に何を見つけるのでしょうか。銀河の果て、まだ見ぬ“それ”を探して──続きを読みたくなる作品です。
過渡期ともいえるAI時代、あなたはどのような態度で臨んでいるのだろうか。崇拝、忌避、あるいは無視? それらいずれの態度も正しくないことを、この小説は証明してくれる。
圧倒的なAIの暴力に対抗するのは、不器用だがゆずらない信念を持つクルー四名。「AIも人も大差ねぇ。学ばなきゃ、鍛えなきゃ何も出来やしねぇ。何物にもなれやしねぇ」AIが他者を無尽蔵に吸収することで強くなるのであれば、我々は自らの内から湧き起こる吠え声で立ち向かうべきなのだ。自分を見失った者にこそ恐怖は訪れる。
止まった奴から脱落していく、人も技術もそうして進化してきた。立ちすくむか、それとも笑い飛ばすか。それを決めるのはあなただ。
艦族と呼ばれるもの達が、探し続けている、兵器ティアドロップ
貧乏艦を運営する主人公、艦長モブ(名前が良い)と響。
実はこの二人、ハードウェアとソフトウェアを分担する最高のバディなワケですが。
旅の途中、隻腕の傭兵を救出したり。
陰謀に巻き込まれたり。
ティアドロップにまつわる遺品に出会ったり。
古今東西のSF要素を詰め込んだかのような、ジェットコースターもといワープ航法ストーリーテーリングには目を見張るばかり。
キャラクターも濃い。
でも、特に艦長モブと相棒、響の時に無鉄砲とも言える決断と、
貧乏艦と思わせながら、最強の愛船が苦難を突破していく様は本当に快感で。
SFが苦手な方にも読んで欲しい、スペースオペラの快作です。
MIX culture SF / クラフト系の融合、
絶対、宇宙に羽ばたきたくなっちゃう。
行こう!
今なら、モブ艦長が乗船許可してくれるから!