鉄と星の海をさまよう人類の亡霊たち── 『Hell Tears』を読む

 『Hell Tears』は、過酷な未来世界を舞台にしながらも、かすかな希望と絆の炎が静かに灯り続ける群像劇です。

 朽ちかけた宇宙船、旧時代の遺物、そして命を削る兵器。そのすべてが、登場人物たちの儚さと逞しさを浮き彫りにし、無言の叫びとなって胸を打ちます。無垢な強さを秘めた少女フランと、彼女を迎え入れたモブたちの関係性もまた、家族という言葉では片づけられない深い共鳴に満ちており、読めば読むほどその静かな熱に引き寄せられていきます。

 涙のように滲む希望を胸に、彼らは次に何を見つけるのでしょうか。銀河の果て、まだ見ぬ“それ”を探して──続きを読みたくなる作品です。

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