第14話 最終回 真の勇者
魔王城の大ホール、そこでは魔王と勇者の1対1での戦いが行われていました。勇者側の他のパーテイー人員は力尽きて倒れていたり魔王の部下に倒されてしまったようです。
一方で、魔王の配下も動ける者は一人もいません。
正に正真正銘の一騎打ちです。
パピは手出しせずに見守ることにしました。
戦いは剣技と魔法のオンパレードです。流石に人類と魔族との頂上決戦です。大ホールはもうボロボロです。何時天井が落ちても柱が折れてもおかしくない状況です。
魔王は思います、勝手に我が家に不法侵入してきおって、自慢の大ホールを滅茶苦茶にした勇者め許さん!貴重な伝統芸術の絵画も彫刻ももうダメだ。貴様の命の1つや2つでは払いきれない損失を出しやがって、貴様を倒した後はあのくそデブ国王を
勇者は考えます。人類の期待を一身に受けてとうとうここまで来た。僕にしか扱えないこの聖剣の力で必ずや魔王を倒してやる。ここまで着いてきてくれた仲間の仇をも討たねば申し訳ない。
「いくぞ魔王、これでおしまいだあーー!!」
「ふっ、どっちがおしまいかその身に知らしめてやろうぞ!」
これまでの戦いが身体を温める為の前哨戦だったかのように激しい剣での打ち合いになりました。
勇者の聖剣が魔王の角を切りつけた瞬間、勇者の聖剣がパキーーンと砕け散ってしまいました。
ま、まさか。この聖剣偽物だったのか?王国の宝物庫に保管されていたものなのに?
勇者は一気に不安になってしまいました。
「な、なんと聖剣が砕けるなんて!正義が負けてしまうのか?」
『バカめ!平和な魔族国に押し入って問答無用に侵略せんとする人間共が正義な訳が有るまい。勇者よ貴様はあのくそデブ国王にいいように騙されて魔王国の豊富な資源と豊饒な地を奪おうとする企みにまんまと乗せられおった大馬鹿者だ!」
「そ、そんな、噓だそんなの大嘘だ!」
ここはあたいの出番だね。パピは姿を現して勇者に言いました。
「あんたのいう正義って兵士が罪の無い一般人をこんな風に苦しめ乱暴を働くってことなの?」
国境の町での兵士達の傍若無人な行いを記録した映像を見せました。
「ば、ばかな!こんなことをするために僕らは魔王討伐の旅に出た訳では無かったのに……」
勇者はガクッと膝を落としました。
「どうだ勇者よ。貴様の馬鹿さ加減を思い知ったか!」
魔王が勝ち誇ったように言いますがパピがそれを咎めます。
「魔王、人の事言えないわよ。この映像を見なさい」
魔王軍が人間の村を蹂躙している場面が映し出されました。
「むむむ、我の言い付けを守らぬ者共が居ったとは怪しからん、帰って来たら厳罰に処そうぞ」
「ああ、こいつらの武器を没収して力を奪って、村人に預けて来たから多分、復讐されてるかもよ。人間兵士共も同様にしておいたわよ」
「……」
「……」
「ところで、聖剣って勇者しか扱えないって本当かな?」
パピはチンピラ勇者から没収しておいた聖剣を取り出して2人に見せました。魔王に渡すと
「アチチチチチチ!」
魔王の手に稲妻が走って聖剣を持てずに落としてしまいました。
次に勇者に渡すと、普通に持てましたが鞘から抜けません。
試しにパピが持つと簡単に鞘から抜けて青く光り輝く刀身が現れました。
「何と、これが本当の聖剣なのか!というか僕は真の勇者では無かったということか」
勇者はうなだれて
この剣を持っていた帝国の自称勇者はこの剣を鞘から抜いたことなど無かったのかな?
「ところで少女よ、そなたはいったい何者だ?真の勇者なのか?」
魔王が訊きます。
「あたいは魔女っ娘パピよ。いじめっ子をお仕置きするために世界を旅してる美少女よ」
パピは自分を美少女設定する事に悦びを覚えたようです。
「そういうあんたたちは?名乗らないの?」
「う、すすまん。我は魔王バギート」
「僕は陽平、自分を勇者と思い込んでいたイタイ男だよ」
「バギートと陽平ね。でこの後、
「いや、僕では魔王を倒せる力も自信も無い」僕の為に死んでいったパーテイー仲間の霊を弔って、世捨て人に成ろうかと思う」
と陽平が言う。
「我は人間共が我が魔王国に攻め入ろうとしなければこちらから戦いを挑むつもりは無い。平和が1番だ」
「じゃあさ、アルテイラ王国に行って平和条約を結ばせようよ。もしも条約を破るようならあたいがその国をお仕置きしてあげる。多分国がこの世から消えてしまうことになると思うけどね」
「ん、そなたのその魔力、途轍もなく巨大だ。冗談じゃ無く国どころか大陸の半分が消え去りそうだな」
「うん、判った。大ウソつきのアルテイラ国王に仲間の恨みを教えてやろう」
パピは来る途中結界で閉じ込めて置いた王国の兵士達を回収して
国境の町の町の人達にさんざん戒めを受けて、廃人同様になった兵士も回収して王国に転移することにしました。
「決まりだね。それじゃあ陽平の記憶から王城の位置を割り出して、転移するよ2人共あたいに掴って」
次の瞬間3人はアルテイラ王国の王城に居ました。
お城の中は大騒ぎです。武器も持たずボロボロになった王国軍兵士が空中からボトボトおちてきたからです。
そして、なんと勇者と魔王が一緒になって乗り込んで来たからです。
騒ぎを静めるために止む無くパピは3人を捕らえようとする王国軍にお仕置きして国王と宰相以下主だったものを集めて和平交渉を行わせました。
クセモント帝国の帝王とチンピラ勇者にお仕置きをした魔女っ娘パピの事を知っていた宰相の助言で国王も大人しくなって、和平交渉に応じました。
未来永劫人間国と魔王国がお互いの国へ侵略行為を行わない事。これは次期国王及び魔王に厳重に引き継ぐことを約束して条約を締結しました。勿論約束を破った場合パピが国を亡ぼす旨を示すために指パッチンで標高3000m級の山脈を消し去って見せました。
さて人間国はここだけでは無いので3人は全世界を回る条約締結の旅に出たのです。
これがこの世界の平和を築く事になった【魔女っ娘パピの世直し旅】と後々の伝説になったお話でした。
★★★★★★★★★★★★★★
【魔女っ娘パピの世直し旅】はこれにて終了です。
流石に美少女の文言は恥ずかしくなったようでパピ自ら削除したそうです。
めでたしめでたし。
魔女っ娘パピの世直し旅 霞千人(かすみ せんと) @dmdpgagd
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