我が心の叫び
加賀倉 創作
『我が心の叫び』
どうも、おはこんばんちは。
突然ですが、あなたは『心の病』という言葉を聞いて、どんなことをイメージしますか?
——シンキングタイム——
ご熟考ありがとうございます。
で、おそらくなのですが……
『うつ病』とか『精神病』とか、そういった類の言葉が
答えが、「ノー! そんな深刻そうなことは思い浮かばなかったよ! 強いて言うなら『恋煩い』とか、もっとゆるい系かな」
※もちろん『深刻な』恋煩いもあるとは思います。
という方がもしいらっしゃいましたら、これ以降の文章は「良い意味で」お目通しいただかなくて結構です。
あくまで「良い意味で」ですよ?
閲覧、ありがとうございました(冗談です、除け者にしたいわけじゃ決してありません、あなたのようなお方は貴重です)。
で、一方で答えが、
「イエス! 『心の病』という言葉からすぐさま『うつ病』を連想しました。何なら『心の病』すなわち『うつ病』だと認識しています」
という方がもしいらっしゃいましたら、これ以降の文章を、ぜひ読んでいただきたいです。
中でも、なんの引っかかりもなく、「えっ? 『心の病』イコール『うつ病』でしょ? 何が違うの?」
と思われた方がもしいらっしゃいましたら、特に、読んでいただきたいです。
***
で、
ここからは、『心の病』という言葉を分解して見ていこうと思います。
まずは、前半部分の『心』について考えます。
あ、夏目漱石の『こゝろ』は関係ないですよ?
ちなみに、皆様は『心』という語の意味を、明確に、自信を持って説明することができますか?
私は、ちょっと自信がないですね。
なので一旦、『心』とつく言葉についてブレインストーミングしてみましょうか。
心臓、心地、心当たり、心ある、心ない、心苦しい、心底、心の友、心強い、心得る、心構え、心変わり、心配り、心残り、心細い、心持ち、心眼、心身、心中、心酔、心頭、心配、心境、心理、心労、心情、真心、恋心、乱心、熱心、小心、核心、中心、親心、改心、会心、用心、執心、下心、野心、感心、傷心、腹心、求心、本心、幼心、物心、安心、決心、無心、遠心……
無限にあるように思えますね。
では、上に列挙した言葉の中で、『心』はどういった意味で使われているのでしょうか。
……使われ方はバラバラな感じがします、ね?
まぁ、言葉なんて、意味に幅があるものだとはわかっています。
それは承知で、『心』を分類してみます。
よく使われるのは、『気持ち』とか『感情』とか『思い』とか、そっちの方向性の意味だと、私は勝手ながらに思います。
でも、『心構え』や『心得る』になると、『理解』とか『考え方』とかに寄るんですかね、また方向性が変わってくる気もします。
他にも、『中心』という熟語で言えば、『真ん中』とか『核』とか『中央』とか『センター』的な意味合いが強いですよね。
結局、『心』ってなんやねん……。
はい、ここで私の『心』に浮かんだ考えがあります。
『心』って……
——何かにとって大事なもの——
なんじゃないでしょうか。
えーっと、結構無理やり一括りにしちゃいましたね……
そうなんです。
『心』って、一言で片付けられないんです。
何が言いたいのかと言いますと……
『心』という言葉が使われているのを見たら、「これはどの意味で使っているんだ?」としっかり判断するべきだと、思うんです。
***
次に、『心の病』という言葉の後半部分、『病』についてです。
はい、これはつまり…
『病気』のことです。
以上です。
……え?
加賀倉あんた、ふざけてんのか!?
と、思われるかもしれません。
ですが、全くふざけていません。
『病』はすなわち『病気』
文字通り、です。
***
そしてついに、『心』と『病』を再結合する時がやってきました。
一度、ここまでをおさらいします。
私は先ほど、
『心』というものを『一言で片付けられない、何かにとって大事なもの』
そして
『病』イコール『病気』
と定義しました。
ここで、一番最初の私の質問を思い出していただきたいのですが……
『心の病』イコール『うつ病』と考える人が、あたかもこの世に存在するかのような物言いを私はしていました。
『心の病』イコール『うつ病』……
これ、違います。
正しく言うと、
『脳の病』イコール『うつ病』
なんです。
『心』を『脳』に置き換えなきゃいけません。
それはなぜか。
『うつ病』は『脳』の異常によって起こるんです。
例えば、うつ病の人にはこんな症状がある人がいます。
過去の辛い出来事に大きなトラウマを抱え、予期不安を抱いてしまって、何も手につかなくなってしまう人。
フラッシュバックによって、辛い体験の光景を思い浮かべてしまったり、幻聴や幻覚で反芻し続ける、まるで生き地獄にいるかのような人。
あまりの辛さに、ある一定期間の記憶を失ってしまう人。
これらは、脳が適切に処理しきれないほどのストレス負荷を受けてしまい、脳の特定の部位が肥大・萎縮したりして、特定の機能を失ったり、本来ない機能が備わったりすることで起こります。
『脳』が変えられてしまうんです。
まるで、別人のように変わり果ててしまう人だっています。
それを理解した上で、『心』の病という表現を使うのは、非常に雑だと思います。
『心の病』イコール『うつ病』としてしまう人は、『心』という曖昧な言葉を、なんとなくのイメージで、『脳の病』である『うつ病』に当てはめてしまっています。
それに『うつ病』とは何か考えるにあたって、あまりに『心』、『心』と言ってしまうと、それはもはや『あいつは心の弱い人だ』とか、『お前は豆腐メンタルだ』とか、人格否定のようなニュアンスに捉えられかねないのではないでしょうか。
少し表現を変えると、『心の病』だと言われ続けた本人は、『うつ病』の根本的発生源を、脳の異常箇所でなく、『自身の人格・意思・人間性』としてしまいかねないのです。
そうなると、負のスパイラルに陥ります。
一生、底なしの流砂から抜け出せません。
***
また、『心の病』という表現の他に、『心の風邪』と呼称する方もいます。
この表現は、はっきり言って、さらに厄介です。
なぜなら『心』と『風邪』、二重で間違っているからです。
もはや、認識のズレの大きさのあまり、会話にならないとさえ思ってしまいます。
風邪の場合、ウイルスが消えれば完治します。
脳の肥大や萎縮、回路の異常は、治りません。
大違いです。
(もちろん、風邪にも重症の場合があるでしょう。後遺症が残ったり、風邪の症状で亡くなられる方が一定数いる事実は承知の上です。)
***
大事なことなので、最後に、加賀倉が思うことを連ねておきます。
私は脳科学者でも精神科医でも、心理カウンセラーでもありませんが、脳に異常をきたして、弱った人に『心』、『心』と浴びせるのは、一種のサディズムであるとさえ思います。
うつ病に関して、『心』と敢えて使う人は、当人に対する理解が欠如・不足しているか、共感力が著しく乏しいか、それこそ『心』のどこかで見下しているようにさえ思います。
(世の中には『〇〇心のクリニック』と称する医院も数多くありますが、個人的には、なぜ精神科医の方が敢えて『心』という表現を使われるのか、私には理解ができません)
世の中のうつ病、そしてその二次被害に苦しむ人が少しでも減ればいいな、と思い、少なからず強い言葉での主張になってしまったことを、どうかお許しください。
ここまでお目通しいただいたみなさま、本当にありがとうございました。
もし、私の考えに対して、「『心』だの『脳』だの、そんなのは言葉狩りだ、揚げ足取りだ」と感じる方いらっしゃいましたら……
おそらくですが、不運にも、もし将来、ご自身が当事者になった場合に、加賀倉の考えを理解していただけるやもしれません。
【注意】
本文は全て、加賀倉という一人間の主張に過ぎません。「真に正しいこと」は各人の『心』の中にあると思います。
もし、うつ病の当事者の方や経験者の方で、違った感じ方をしている・した方がいらっしゃいましたら、よろしければ、方法は問いませんので、共有していただけますと幸いです。なお、この提案は「相手の意見をねじ伏せる(いわゆるレスバのようなもの)」を目的とはしておりません。あくまで、感じ方の違いがあるのであれば、より多くの人の間でシェアがしたい、というだけです。
我が心の叫び 加賀倉 創作 @sousakukagakura
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