「縛りプレイ」で異世界無双

最終章 竜の谷で最終決戦

最終話 それから

　キィンニィ王国を出発して数ヶ月が経った。

　現在俺は王都から東にある竜の谷に向かって、森の中を歩いている。谷の底に住む竜の血を飲むと、不老不死になるという噂があるらしい。それを魔王が狙っているんだとさ。

　女神様の命を受け、俺がそれを阻止しようってわけ。

　瞬間移動の魔法が使えればすぐなんだけど、シュワルツさんは今回の魔法の開発に結構苦戦しているようだ。そして、なんだかんだでクーもシュワルツさんの助手として頑張っているらしい。ときおり伝書鳩がやってきて、手紙を届けてくれるんだ。

　キィンニィ王国で魔王四天王である風のシェイ・プアップを倒した後、土のエアロ・ヴィクス、水のピーラ・ティス、火のズン・バァとも戦った。

　一撃だった。

　龍の谷に向かう前は、キーン一族との出会いもあった。彼らは俺と同じく武器を使わない種族で、一緒に筋トレをすることで仲を深めたっけ。

　キョウ・キーンとハイ・キーン。双子の兄弟もなかなかに素質のある若者だった。

　さて、そろそろ森を抜ける。

　この先には竜の谷、そしていよいよ魔王が待っているに違いない。

　ま、どんな敵であれ、俺が一撃で倒してやるのさ。

　だって俺の名はマッチョ＝ニーナ＝リタ＝E。マッチョを愛し、マッチョに愛された漢（おとこ）……じゃなくて、職業マッチョ、スキルイケメン。武器や防具、そして魔法を放棄する代わりに絶大なるパワーを手に入れた世界最強の戦士だ。

　とっとと戦いを終わらせて女神様に俺の願いを叶えてもらうんだ。

　え、何を願うのかって？　それは魔王を倒してからのお楽しみってことで。

「縛りプレイ」で異世界無双　完