とある冒険者パーティーの日常
@klo90
第1話 不動居合の話
1.不動居合
ある日のこと
「おいみんな!俺はついにやったぞ!」
訓練上にて突然声を上げたのは四人組のBランクパーティー《
ん゙っん゙。と、も、か、く!話を戻す。
ギルドの訓練場で突然声を上げたタツヤに三人の仲間は胡乱げな眼差しを向ける。
「突然どうしたのよタツヤ」
達也に返事をしたのはBランクパーティー《
「ふっふっふ!よくぞ聞いてくれた。なんと..ついに居合が俺達の計画の領域まで到達したのだっ!」
「はぁ?計画って何を言って..「なにっ!それは本当かタツヤ!」
タツヤの言葉を聞いて、胡乱げな眼差しを一転、興奮した様子で真偽を問いかけたのは《
「ああ。これまで重点的に鍛え上げてきた第二スキル『
「!ということはついに究極最強無敵のあの計画を実現できる...!」
「その通りだ。ユキ!」
タツヤの言葉を聞いて抑揚を感じない声で呟いたのは《
「まずだが、配役を決めたいと思う。俺は居合をする役で決定しているが...」
「俺の役も決まっているだろう。当然あの役だ!」メガネクイッ
「私も
「おお、なんだみんなばらけてるじゃないか!よし、それならさっそく...」
タツヤ、レイジ、ユキの三人が意気投合し、話し合いをしていると唯一話についていけなかったアカリが声を上げた。
「ちょっと!三人ともさっきからいったいなんの話をしているの?」
「「「え?」」」
時間が止まった。いや本当に時間が止まったのではない。誰もが一斉に動きを止めてしまったためそう思ってしまっただけだ。この時、三人の心は一つになっていた。すなわち、
「アカリにこの計画について言わなかったか?」
「はぁ?何一つ聞いてないけど?」
まず最初に口を開いたのは脳筋レイジ。メガネをクイッとしながら言った。脳筋らしく疑問に思ったことをすぐに口にすることにより、誰よりも早く動き出すことができた。もっともそれは良い結果を産まなかったようだが...。
「あれ、アカリにつたえていなかったけ...?私の
「あぁ、俺もユキがアカリに話していたのを覚えているぞ。忘れたのか?」
続くユキの口撃。どうやらユキはレイジの発言を受けて、私は伝えましたけどね、アカリが忘れてるんじゃない?とゴリ押す事ににしたようだ。それを察した、タツヤによるフォロー。ユキだけでなく自分も聞いていましたよといった顔をすることで信憑性を増やす作戦だ。すでにレイジが失敗したことで嘘っぽくなっているため、三回目は無理だとも判断したのだろう。更にこれだけではない。こんな言い訳ではすぐにアカリに切り捨てられてしまうだろう。なのでユキは巫女として
ときを止めた。
一切が動きを止め静寂の中をユキが静かに動きつぶやく。
「第四位階祈祷『静寂の時』」
ユキのジョブは巫女。祀る神は【ガル・シー・ビャレ】。原初神が生み出した神々の末弟。権能と
...はずだった。
ぎょロリ
アカリの記憶を捏造し、危機を回避しようとユキがアカリに近づいた時アカリの眼が音を立てて動きユキを睨んだ。そのぎょロリという音は静寂の中よく響き続いて、ゆっくりとアカリが口を開いた。
「《凝視の魔眼》。真実を見抜くという妖精たちの血をふんだんに使って変質させたこの眼はいかなる欺瞞も見破るわ。ユキ、迂闊だったわね」
驚いて声が出ないユキは口を数回パクパクさせたあと怯えた様子で言った。
「こ、これには
動揺して言葉が続かないユキをみてアカリはため息をつくと膨大な魔力を込めて魔法を放った。
「《
魔法は強大な祈祷の力を打ち破り世界が静寂から音を取り戻した。何があったかを察して手を顔に当て上を向くタツヤと時間停止にすら気づいていないレイジを見てもう一度ため息をついてからアカリは言った。
「別にそんなに怒ってはないわよ。ユキが時間まで止めるから呆れちゃったし」
「ほんと...?」
アカリの言葉に恐怖で少し涙目になったユキが不安そうに聞いた。無表情キャラから庇護欲をそそる幼女きゃらにキャラチェンジだ。
「ええ。でも計画ってなんのことなのかちゃんと教えてもらうわよ。ねぇ、タツヤ、レイジ」
「あ、あぁ!もちろんだ教えてやるとも。うん。当然」
「お、おう。タツヤの言うとおりだ。」メガネクイッ
アカリはユキに向けて優しく言葉を放ったあとに二人に向けて鋭い声を上げる。それにタツヤはホッとした様子でうなずき。レイジは何があったのかをよく理解しないままメガネをクイッとする。
ユキが落ち着くのを見計らってタツヤは口を開いた。
「よし、せっかくならアカリに見せてやろうではないか!俺達の計画をな!」
「見せる?」
「行くぞ二人とも!配置につけ」
「え?何するつもり?」
困惑するアカリをおいて、タツヤの合図でレイジとユキは壁にもたれかかって並んだ。タツヤは練習用のマネキンの前で腰にさした刀に両手を当てて構えた。ちなみにマネキンを真剣で切ると罰金である。
「《
瞬間、タツヤは何もしていないのにも関わらずマネキンはサイコロステーキのようにばらばらになった。否、実際にはタツヤが見えないほど早く居合を抜いたのだ。それをみたレイジとユキは言った。
「レイジ見えた?」
「ああ。恐ろしく早い居合。俺でなきゃ見逃しちゃうがおそらく30回ほど切ったな」
「うん。彼、けっこう強そう。今回は楽しくなりそうだね」
一連のやり取りを見ていたアカリは言った。
「いや、これがやりたかっただけかい!」
とある冒険者パーティーの日常 @klo90
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