第4話 無計画すぎる買い物

昨日はなんか色々あったが今日は休日だ。

そのまま寝ていたい気持ちを抑えながら身支度を済ませた後に朝食を作り、シャロを起こした。

さて、今日はどうしようか…

昨日の話によると堕天使を治すには幸せを感じなければならないらしい。

正直、これはすぐにどうにかなるようなものでもなさそうだし、放って置くのは後に問題になりそうだ。

それなら、今日は少し出かけてみようと考えた。

「シャロ、今日ちょっと出かけに行くか。」

ここに来てから一度も家の外に出たことがないシャロは、それを聞いてまるで、子供のように嬉しそうだった。

「おい優弥、そう言ったが一体どこへいく?」

「まぁ、ちょっと電車に乗ってショッピングモールにでも行こうかな」

シャロが来たこともあって、その分必要な物を買わないといけなくなった。

その中でも必要なのは服だ。

一応、外に出歩いてもギリギリ問題ないがコレを着続けるのは少し抵抗がある。

「あぁ~けど金がなぁ〜」

貯蓄はしているが、親の金で一人暮らしをしている身なため安い服が1〜2枚買える程度しか貯まっていない。

そう思い悩んでいると───

「金ならこの前ローズが置いてったぞ」

そう言って分厚目の茶封筒をぶん投げてきた。

「おいおい、これって見るからに大金じゃないですか…」

その厚みを見て俺は少し動揺した。

恐る恐る、封筒の中身を見るとそこには想像通りの大金が入っていた。

しかも、その金額はなかなかのものだった。

「うわっ、こんなん普通の高校生に渡していい金額してねぇって」

しっかりと数えてはないが、軽く50万は余裕でありそうな感じだった。

「てか、一体どうやってこんな金額を…」

ローズは一応、天界の者だ。

この日本円を短期間で手に入れる方法が思いつかない。

「それならローズが言ってたぞ」

シャロが言うにはこうだった。


これは2日前、ローズが家に来て帰ったあとの話だった。

(あっ、そういえばあの方に金銭面についての話をするのを忘れてました…)

天界に帰ってから気がついてしまったローズはどうしようかと考える。

(って、そういえばお金ってどうやって手に入れましょう?)

下界の紙幣の入手方法など知る必要が無かったため

ローズは更に頭を悩ませる。

そして、最終的にたどり着いた結果が

(一旦、神様にでも相談してみましょう!)

直接的な神頼みだった。

そういう事で、神に相談した結果

「それならあるよん」

「本当ですか!!」

「あそこの世界は宗教という文化が栄えてるからな。わしを慕ってるのなら少しくらいもらう価値はあるじゃろ」


そんな理由でパッと取ってきた金額がコレなんだとか…

「…………」

なんか、この話聞くと地味に使いづらい…

良く言えば神の給料、悪く言えば神の横領…

「まぁ、神ならいいか!」

そんな感じでこの金はシャロの為に使うことを決めた。

そして、俺たちは電車に乗って大型のショッピングモールへと到着した。

「なぁ、シャロ──

なんか、行きたいところってあるか?」

そう俺は質問したが、「私はここに来たことないから分からん。」とごもっともな反応だった。

生活必需品は最後の方が荷物にならないため後回しにした場合、最初に行く場所は服屋なのだが──

俺は女の服が全く分からん!!

彼女も居ない童貞の俺が服のチョイスなど出来るはずもない…

じゃあ、シャロに聞いてみたら良いじゃないかと思ったが行く前に聞いては見たが…

「私はこの服でずっと居たから、服のセンスとか一切知らない。」だってさ。

どうすりゃええんだよこれ!!

そう考えてながら歩いていると

(ん?)

何処に行こうかと悩みながら周りを見渡していると

入口の近くから視線を感じた。

そいつに目を向けるとすぐに目をそらしてスマホを凝縮しながら移動していた。

(もしかして、アイツは…)

そう思った瞬間「ちょっとここで待ってて」

とシャロに伝え、俺はすぐさまそいつを追いかけた。

俺が追いかけてくるのに気がついたのか相手も逃げるように走り出した。

「っちょ、圭人!! なんで逃げんねん!」

あいつの姿には見覚えがあった。

普段着の姿は見たことなかったが、学校で会ってるからか面影が十分に感じ取れた。

そして決めてがスマホケースだ。

アニメ好きの圭人はスマホケースを推しのケースにしている。しかも、結構マイナーのだ。

急遽、ショッピングモールでの鬼ごっこが始まったが、圭人は足が遅いため1分もかからず捕まった。

「よぉ、公共のマナーも知らないアホ野郎が。」

「ひでぇ言われようだが、ぐうの音もでねぇ」

俺に罵倒された圭人は少し落ち込んでいたが、少し何かを警戒している…

「じゃあ、まず…俺の跡をつけて何をしていた?」

「───っ!!

……はぁ、バレてたか。」

まぁ、あそこまでスマホ見てたらわかるだろ

「それより、一旦貴方の彼女さんのとこ戻った方が良いんじゃないですか?」

「あ、やべ……ってか、彼女じゃないって!

───そんな事より、ちょっと手伝ってくれん?」

そう言い圭人を無理矢理連れて行くことにした。


「……でコイツは?」

「助っ人の圭人。高一からの友達」

「…どうも、でこの人は?」

やべ、シャロの事何も考えてなかった!

シャロという名前を言ってしまったら面倒なことになってしまう…

どうにかしたいが、ここで話すと余計にあやしまれる…

「私は玲香。この優弥の従姉妹。」

冷たい態度だが、なんとか誤魔化してはくれた。 

「んで、手伝いって?」

「な、なんかおばさんが今日こっちに用事があって家に来ちゃってさ〜それで今日ここに来たんだけど…俺、女子の好みとか知らねーからどうしようかなーって」(よし、なんか上手く設定作れた!)

俺は意外と上手く誤魔化せたことに心の中で驚いた。

「それで俺を持ってきても意味ないと思うが、それなら多分問題無いだろ」

「え、なんで?」

圭人の返答にどこから来たのか分からない謎の余裕があった。

「これ見てみ」

そして見せられたのはさっき撮られた写真とそのやり取りだった。

そして、その相手が穂波だった。


『なんか女連れた裕也見つけた』


『マ?速攻で行くから見失わないように見張ってて!!』


「…何してくれてんねん!!」

俺は圭人の胸ぐらを掴んでぶんぶんと前後に振り回した。

「ちょ、けど良いじゃんこれでお前の問題は解決したんだから…」

それを言われたら確かに穂波が来ることはメリットではある。

「たしかに、今回は許そう。」

「ふぅ…」

ということで、穂波が到着するまでの時間を喫茶店で過ごした。


数分後…

「おまたせ~ごめんね、私のために待ってもらって…」

「いやいや、俺は正直助かるから…」

「ん?どゆこと?」

(あっ、説明不足で話噛み合わなくなった…)

ややこしくなりそうだったから圭人に話した内容を穂波にも話した。


「ん~、要するに玲香ちゃんは裕也の親戚ってことでいい?」

「まぁ、そんな感じ…」

俺の話し方のせいか、結構長く説明してしまった…

「なぁ、裕也…さっきから玲香がすげえ量食ってるんだけど」

そして視線を横に逸らせばタブレットで多くのスイーツを注文していて、ものすごい量の皿が積み上がっていた。

「これ、すげぇ美味い!」

「あの~、今これで何皿目ですかね?」

「ん~13」

「食いすぎだ。没収」

そして俺は手につけてないものを圭人たちに渡した。

「なっ!! 私のパンケーキが!」

「玲香ちゃん、食べ過ぎは太るよ。」

「………」

さすが、穂波パイセン。

あのシャロを一撃で黙らすとは…

そんな事に感心しつつ俺達は頼んだものを食べ終えた。


「で、今から私なりのコースで色々と見て回れば良いってことね。」

「ああ、よろしく。

ということで、ここをでるとしますか!」

そして、俺は伝票をレジへと持っていった。

「え~と、こちら合計で16160円になります…」

「……」

どうやったら喫茶店で16000とかいう数字が出てくるんだよ…

「うわっ、高っ!」

「ひぇ~、払えんのかよ…」

2人共この値段には結構引いていた。

「まぁ、払えない訳では無いが、

後で覚えとけよ──」

「───っ!!」

いきなり大きな出費だが、これでやっと本題へと進むことができる。


「それじゃあ、レッツゴー!!」




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堕天使が家に突撃してきたんだがどうすればいい? 気ままなかしわてん @kasiwaten0056

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