夕闇色の記憶 あとがきの章 心に刻んで…

 ノンフィクション恋物語第二弾、夕闇色の記憶……

 哀しくも……本当に哀しい結末で、終わってしまいました。


 お読み下さった読者の方々へは、心よりの感謝を申し上げます。



 ※もしもこのあとがきの章だけを「先に」お読みになる方がいらした場合の但し書きとなりますが……結構重要なポイントの「ネタバレ」もございますので、ご留意下さいませ※



 前作【藍色の月】のラストで、1985年5月……千鳥ヶ淵へと身投げした、17歳の僕の心を……

 絶望と虚無に、どこかへ連れ去られそうになっていた僕を……救い出して下さったのが、秋……18歳になっていた僕が出逢ったゆなさんでした。


 連載開始から途中のある段階までは…

「ゆなさん25歳、大学院生……れいくん18歳、高校生……そんな二人の恋物語です」のような顔をして連載を続けておりました。

 その「ある段階」までは、紛れもなくその通りであり……『オトナの恋』を教えて下さるゆなさんの、完全に『虜』になっていた僕。


 但しその恋は、始まった段階から……『7歳の年齢差』との障壁を抱えておりました。

 正確には、障壁は『年齢差』そのものではなく……『大学院生と高校生』という二人の立場でした。

 即ち、お互いに『スネカジリ』であり、年齢差が理由であろうがなかろうが、もしも親の反対にあった場合、抗いづらい……。

 しかも普段から既に……元ヤンだったゆなさんの危なっかしさを心配した親御さんからは、妹さんという『監視員』を同居人として、アパートメントへ送り込まれていた状況。

 「二人の関係が、もしも親御さんへバレたら……」との予期不安を、常に抱え続けながらの逢瀬。


 そんな二人の予期不安は、やはり予期では済まされず……遂に具現化してしまいました。

 それに対するゆなさんの「絶対に屈しない」との意思に拠り……『第一次逃避行』……『第二次逃避行』等々幾度もの試練(=二人の絆を心も躰もより一層深めた期間)を迎えました。

 但しゆなさん本人も、そうした意思や姿勢については「大人げない」との自覚もあった……ただ、随所にて湧現してしまう『激情』が止められなかったそうです。


 結果、下った仙波氏(ゆなさんのお父さん)からの『沙汰』に対して、最終的には抗えなかった二人。

 ここで残念ながらゆなさんは、ゆなさんらしからぬ『ミス』をしました。即ち『報連相』の欠如。

 そして僕も……ゆなさんのミスのせいにする意図は1ミリもありませんが……ミスなどでは済まされない、大きな……とても大きな『過ち』を犯してしまいました。



 なんだか……あとがきのはずが『ネタバレ解説』みたいになっておりますね。

 これくらいにしておきましょう。



 1985年の秋に始まり、1986年の春に終わった……ことになっている、恋物語。


 そんな【夕闇色の記憶】は前作の【藍色の月】と同じく、約16年前にYahoo! ブログにて2008/10/08~2009/08/28の期間に連載していた原作を、リニューアルした作品です。


 Yahoo! ブログ連載の頃は、章タイトル兼挿入歌としての曲名を、章の頭に付けておりましたが、カクヨムではそのスタイルは取らず、その曲の『歌詞の一部』を、各章のサブタイトルとして使わせて頂くというケースが多かったのは【藍色の月】の頃から変わっておりません。

 カクヨム『だけ』をご覧の読者様からすれば、その『歌詞の一部』にお気付きの場合を除き、音楽からはほぼ切り離された小説に見えたかもしれません。

 然しながら、今回リニューアル作業に苦心惨憺した筆者からすれば……各章の内容と、それに合わせて選んだ曲に対して、相当の感情移入がありました。しかも、その約16年前に原作を綴っていた頃よりも、一層強く。

 故に……ブログの宣伝記事では、章タイトル兼挿入歌を挿し換えたり……曲の訳詞を今回初めて知り、先の章の曲と挿し換えたり……等のケースもありました。



 ああ……またなんか、つまらないあとがきになってきましたね。

 僕の『感情移入』を語って、どうしようというのでしょう?(笑)

 しかもカクヨムに於いては、章タイトルに歌詞の一部が使われているだけであり、音楽に興味のない方からすれば、どうでもいいお話。ごめんなさい。




 漫画の“いとしのエリー”って、ご存じでしょうか? (いきなりかよ)

 ご存じない方からすれば、これまたつまらないお話かもしれませんが……

 僕も、その『ご存じない方』の一人でした。

 連載時期(1983年から1987年)、行った先に置いてあったヤンジャンを拾い読みした程度で、詳しい内容は覚えていませんでしたし、ラストがどうなったかもまったく存じませんでした。


 今回、その“いとしのエリー”を改めて『ちゃんと読む』こととなったきっかけは、前述のYahoo!ブログがブログ運営ごと消滅した後に移行した、アメブロ。

 法政さんというブロ友さんが、大のサザンフリークなのです。

                 https://ameblo.jp/hoseiyakyuubukenkyuu/


 彼とのやり取りの中で出て来た、元々はサザンの曲名である“いとしのエリー”とのキーワードに……触れた途端に、というわけではありませんでしたが、暫くしてから……その「拾い読みした程度」の記憶がフラッシュバックの如く甦って来たのです。


 エリー(串田枝理子先生)……高校教師……担任しているクラスの上野くんの……7つ年上……表沙汰にできない関係……親の反対……。


 なにそれ……?

 【夕闇色の記憶】と、被る部分多くね? (僕は先生とそうした仲になってしまった経験はありませんでしたが)


 と……今現在ウェブで公開されているサイトも見つけて、第一巻から早速読み始めました。

               https://www.mangaz.com/series/detail/182661


 そうだ……やっぱりエリー、上野くんの7つ年上だったか。

 しかもその連載時期……開始の1983年、上野くん高1って……僕と同い年の設定じゃないか。

 ということは、エリーは……ゆなさんと同い年か。


 そんな設定も相まって……“いとしのエリー”の拝読にも心が入り、そして同時進行で【夕闇色の記憶】のリニューアル作業にも魂が入った次第でありました。

 ただ、法政さんとのきっかけで“いとしのエリー”を読み始めたのは……【夕闇色の記憶】の連載が後半まで結構進んだ時期であり……まゆなが……登場した辺りでしたでしょうか。


 因みに“いとしのエリー”は……7月25日(木)に、最終回まで読み終えました。

 絵的にはハッピーエンドっぽい描写でしたが……実際には、まだまだこれから乗り越えなければならないことが、山積みな二人……みたいな設定で終わっていました。


 何れに致しましても……『良い時期』に、それこそ『再会』できた漫画でした。

 漫画に限らず書物でも……絵画でも映画でもドラマでも音楽でも、そのアーティストでも……そして恋愛に限らず人との出逢いでも……

 その出逢いや再会の時期は、すべて『縁』ですからね。『別れ』もです。

 『偶然』なんて、あり得ない。


 今現在の幸せを運んで来て下さった『運』は……これまで出逢ったり別れたりして来たすべての存在との『縁』が紡いだ『恩』のお蔭さまなのです。


 この【夕闇色の記憶】の始まりも、同じく『縁』でした。

 【序章 虚無に連れられて】にて述べましたように、僕の父は当時、角山書店の社員で……その日に出版されたすべての書物を社から渡されて、毎日のように自宅へ持ち帰っておりました。

 その中にあった一冊を出版したのが……ゆなさんが編集委員を務めていた、とある出版機関でした。

 故に、もしも父が角山書店の社員ではなかった場合……僕はゆなさんとは出逢わなかった。勿論……まゆなとも出逢わなかった。


 でも……

 『出逢った』んですよ。

 そして別れた。


 つまり、僕とゆなさん及びまゆなは……出逢うべくして出逢い、そして……別れるべくして別れた……しかもそれは『あの時期』でなければならなかった……そんな『縁』だったのです。

 もっと仏教的に述べれば……前世からの『因縁』だったのでしょう。角山書店の社員だった父のところへと生まれ落ちた時点で……否、正確には……もっともっと前からの、僕の命だけではない、すべての輪廻が絡み合う『因縁』だったのでしょう。


 だからね……せっかく付属だった大学へも行かずに、中途半端な『就職』をしてしまい……その件は確かに、僕の後の人生に於ける『学歴』には響きましたよ。

 だからといって……それを彼女たちのせいにする意図は、1ミリもありません。

 だってさ……その後の、そんなはっちゃけた人生の方が……楽しかったんじゃね?(笑)


 これくらいの年齢になりますと(僕が何歳なのかは敢えて申しません。いとしのエリーの上野くんと同い年なので、計算して下さいね)……色々とリアルに想像がつくんですよ。


「もしもあの時、大学へ進学していたら……きっと、大学院まで行ってたんだろうな。で……中3の時に決めた人生設計通り、警察官になって白バイ隊員。でもそれって……実際に自分が送って来た、波乱万丈な人生と比べて……楽しいのかな?」


 なんてね。

 いずれに致しましても……あの時もしも大学へ進学していた場合、今現在の伴侶である(と言っても、もう37年間も一緒ですが)さゆりさんとの夫婦生活……そして、離京してからここ数年間の……昔からの夢だった、楽しい信州暮らしは無かったことになるのだとすれば……


 やっぱり『縁』には逆らっちゃダメですし……そもそも逆らえないんですよ、絶対に。

 だから、ゆなさんとまゆなには……寧ろ『感謝』しています。


「あの時の僕を、大学へ進学させないでくれて、本当にありがとう!」


 ってね。


 うん。なんとか『あとがきの章』っぽく、綺麗に纏まったかな?


 最後になりますが……

 【夕闇色の記憶】をお読み頂いた方々との『縁』を嚙み締め、あとがきを終えたいと存じます。


 長い間お付き合い下さいまして、本当にありがとうございました!

































 と……終わりたいところなのですが……




 夕闇は、そう簡単には……




 終わってはくれませんでした。


 “いとしのエリー”じゃあるまいし……漫画のお話ではないのですから(笑)


 だから上記……1986年の春に終わった……『ことになっている』との表現に、しておいたのですよ。



 次回以降に描写される物語は……


            【夕闇色のその後・完結編】


 『次回以降』との書き方は適切ではありませんね。

 カクヨムに於いては【夕闇色の記憶】とは、建前上? 手続き上とでも言うのでしょうか……『別の小説』としてアップ予定ですが……内容は正に、そのまんま【夕闇色の記憶】の続きです。


 舞台は……【夕闇色の記憶】が終わった(終わってません)1986年の8年後……


 1994年まで、時空を超えます。


 ということは……


 さゆりさん……今現在まで続いている、僕の奥さんも登場します。


 冒頭に……「本当に哀しい結末で、終わってしまいました。」などと述べましたが……


 夕闇は……そんな生易しい終わり方を……


 してはくれなかったんですよ。




 これ以上、ネタバレ的なことを言い出す前に……


 予告!


      【夕闇色のその後・完結編 序章 解き放て無謀な衝動】


 前述の如く、章のサブタイトルは、歌詞の一部。

 おわかりになる方は、一瞬でお気づきとは存じますが…

 GARNET CROWの“Misty Mystery”……。


 『あの頃の』Being系、好きね(笑)


 と……笑い事では済まされない内容ですが……

 引き続きお付き合い頂けましたら幸いです。


 連載開始予定日は今のところ未定ですが、近々……。

 是非とも宜しくお願い致します。



                       令和6年(2024年)8月5日

                               薄川 零

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