第15話 通信
☆
オリバーは、リリーが帰るのを見届けたあと、南側の窓際に立った。彼女が来たころは、太陽が一番高い位置辺りに来ていたが、西のほうに三十度ほど傾いている。
空は心地の良い午後の雰囲気を作り出しており、オリバーは僅かに笑みを浮かべながら、ゆったりとした心地で庭を眺めていた。
特に何かをする様子はない彼だったが、
一瞬だけ、ペンダントが金属の部分の縁をなぞるように光が駆け抜けたが、それ以外の変化はない。オリバーは、ペンダントから手を離すと話し始めた。
「やあ、フェリー。元気にしているかい? 今、君はどこにいるの? ああ、日本ね。ついに、時が来たんだね」
相手の声は部屋には聞こえず、オリバーの耳の辺りにも、特に音声器具は見当たらなかった。
だが彼には聞こえているようで、気にせず話を続ける。
「上手くいくことを祈っているよ。え? 僕? ああ、今日は良い報告をするために連絡をしたんだ。そう、管理者の話さ。君に代わって、後任者を探したんだ。少しは
そのとき、ドアが三回ノックする音が聞こえ、開いたかと思うとクロエが顔を出し、ぶっきらぼうに言った。
「オリバー、時間ですよ」
「ああ、今行くよ。ありがとう」
オリバーはカーテンを閉め、ポケットに入っていた鳥をデスクトップパソコンが置いてある机の引き出しに入れる。
「クロエに呼ばれたんだ。このあと予定が入っていてね。フェリー、また近いうちに会おう。うん、じゃあね」
彼はペンダントの表面を軽く一回叩くと服の下にしまい、自分の部屋を後にするのだった。
(完)
オリバー・スミスの謎 彩霞 @Pleiades_Yuri
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