このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(91文字)
『櫻岾怪談』の系列ホラー作品。 じわじわと、『櫻岾怪談』の真相が暴かれていきます。 過干渉の母のもとで、不満を持って育った主人公、雪江。 しかし、母の過干渉には、それなりの理由があったのです。 そして、雪江の大事にしていた、赤い手鞠にも、大きな秘密が。 呪われた家の、呪われた家系。 じっくり怖がっていってください。
太古からの「因縁」「呪い」とは、医学が発展していない世界では謎の病気やウイルス、回虫といった目に見えず分からない「死」が憑きまとうことだということは、現代の私たちにとっては明らかだ。しかし、血筋や家系とは先代先祖は明確な意思をもって引き継がれる「伝統」であり「継承」。そこには不可抗力や過失は存在せず、善意か悪意かの意図が込められている。本当の「咒」とは、そういった人の意思で蓄積していくモノなのかもしれない・・・・・・
作者が奏でる幾つもの物語が、やがて一つの結末へと連なって行きます。この物語はその一つの枝ですが、幹をなす本流への不可欠の流れとなっています。読み落としのなきよう。