このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(473文字)
お屋敷に生まれた少女は、ある日曾祖母からもらったお気に入りの赤い鞠を黒い影に取られてしまう。少女からはただ厳しく見える母は、動揺したように教会と寺に連絡を入れる。少女は大人になり、決意をもって最後の当主となる。「櫻岾奇談」のスピンオフ作品となりますが、古めかしい幻想的雰囲気をこれでもかと味わえる一篇となっております。幻想文学や幻想的なホラーが好きな方にオススメです!
ほつれほどけて流れだす、それは因果の赤い糸。人の意図など、願いなど、身を捧げたる者の悲願すら、もう知らぬとでも言いたげに、それはうねうね、新たな因果に固まりだして……。幼い頃からのおぞましい因縁を見つづけたとある人物の独白。町をとりまく鉄の結界は、それを封じきれるのか。
『櫻岾怪談』の系列ホラー作品。 じわじわと、『櫻岾怪談』の真相が暴かれていきます。 過干渉の母のもとで、不満を持って育った主人公、雪江。 しかし、母の過干渉には、それなりの理由があったのです。 そして、雪江の大事にしていた、赤い手鞠にも、大きな秘密が。 呪われた家の、呪われた家系。 じっくり怖がっていってください。
太古からの「因縁」「呪い」とは、医学が発展していない世界では謎の病気やウイルス、回虫といった目に見えず分からない「死」が憑きまとうことだということは、現代の私たちにとっては明らかだ。しかし、血筋や家系とは先代先祖は明確な意思をもって引き継がれる「伝統」であり「継承」。そこには不可抗力や過失は存在せず、善意か悪意かの意図が込められている。本当の「咒」とは、そういった人の意思で蓄積していくモノなのかもしれない・・・・・・
作者が奏でる幾つもの物語が、やがて一つの結末へと連なって行きます。この物語はその一つの枝ですが、幹をなす本流への不可欠の流れとなっています。読み落としのなきよう。