あとがき・補足

 ここまでお読みいただきありがとうございました。


 男女比偏重ものとしては醍醐味である主人公の愛されぶりが描かれないという致命的な欠陥がある本作。少しでもお楽しみいただけたならよいのですが。


 作者的には制欲思想や1:30世界では何がタブーとされるかなどの昔から妄想していた設定が盛り込めたので、たいへん自己満足度が高く書いていて気持ちよかったです。



 以下、補足と雑談。


 本編では匂わせをしていますが、パパ活男子の佳川天音よしかわあまねは現代日本からの転生者です。


 前から男女比偏重ものを書きたくて、企画していたのが『男女比1:30世界のポルノ男優 ~俺、都会でビッチになります~』という天音が主人公の作品。

 男子の性欲は社会的に抑制されている中で男のためのポルノを作るというストーリーを考えていました。


 企画や1話だけ書いてあとは長らく妄想だけ進めていましたが、書く余裕はなさそうなので、本当に自分が書きたい所だけ抜き出して短編化することを思いつきました。書きたいという衝動を消したいなあと。


 その書きたい所というのはストーリーよりも設定の部分で、本編にある男は女たちの所有物であるとか、男のオナニーはタブー視されていて(女の場合はまあしょうがないよねという扱い)、だからこそ男の人権の象徴とされているなどの部分。

 

 強引だけど、その辺りを盛り込めたので本作の自己満足度は高いです。その分ストーリーは犠牲になったけど。


 ヒロインが弁護士を目指してるとか天音の父親が亡くなってるとかは元の企画で考えていた設定。

 前世で両親に恵まれなかった天音は自分を愛してくれた父親を慕っており、そんな父親を種無しだからと迫害していた母姉妹を憎んでいて、事故の遠因もそれだと信じて、その復讐のためにもポルノ俳優という家名を汚す道を選ぶと。


 男のためのポルノ作り。企画時では初の、という扱いにしてたけど、実際の所は男のエロスを求める情熱が人口が1/30になったせいで損なわれたりはしないのでしょうが。現実でも見つかったら重罪な国や宗教の教えの下でもエロコンテンツは流通してるんだから。でも表向き社会的に無いものとされるのはありえる。

 作者もレディコミが世に出るまでは、女もどぎついエロを求めていて市場になるほどの需要が存在しているなんて知らなかったですから。


 天音の中の精神年齢はぎり20代。


 庭造りが男の領分というのはアメリカなんか実際に男の領域なイメージがある。

 歴史的に男は数が少なく、外から狙われるので家から出さない、出ることを許さないので、自然と男の活躍の場は料理や庭造りに向かうと。男に許されていた数少ない自己表現でもありました。


 冒頭の天音の顧客であるスーツ姿のビジネスマン。

 女性が主導権を握っている世界なのでmanは単独で成人女性の意味になります。ウーマンの語源を検索すると、古代英語でwif(女性) +man(人)を合わせたwifmanがwomanに変化したそうな。

 その頃の(男)はwerと呼んだそうなので、ならば wermanが我々のウーマンと対比する位置付けになるかと。時代を経てこれがどう変化するかは分からない。そのままワーマンと呼んどけばいいのか。

 欧米のジャンル作品ではこの辺りの基本はとうに答えが出ていると思いますが。

 一応この世界にもビジネスワーマンはいます。


 男の結婚可能年齢は16歳。実際は籍が入れられないだけで、中学卒業時点で婿にいくことは多い。

「男は婿に行くのは早きゃ早いほどいいんよ。チンコの立ちが違うからのう、ガハハ」みたいなセクハラは多くの少年が被害にあっています。まあ実際、妻側が30人いて年上の場合が多いとなれば最も性欲が高まる時期に婿にいくのは生物として合理的と言えますね。ガハハ。

 中学生の頃なら年齢差3倍でもいけるだろうか。

 いけない場合は当て馬の逆バージョンとかあるかもしれません。


 昔は結婚可能年齢という区分はありませんでした。

 精通したら貴重な白米を炊いて近隣に振る舞うことで、うちの男児おのこは婿に行けるようになったぞと周知します。さあ欲しければ支度金を積みなというわけ。


 本作は元々はノクターン(18禁サイト)に投稿するつもりで執筆していました。天音がヒロインに迫ってからそのまま完遂する予定でした。

 ただ自分がえっちなシーンは書きたくないので前半だけ書いてそのまま放置していました。エロシーンは描写が難しいのに、成果物の自己満足度が低いんですよね。そもそも作者は小説のエロシーンはとばす派。


 カクヨムの某作品でえっちなシーンはノクターンでね、と該当話だけピンポイント投稿している作品を見て、その手があったかと気づきを得ました。

 某作品とは逆に、カクヨムだからえっちなシーンは省略しましたよ、という扱いにしてしまえばいいのだと。一度そう気づけば、そもそも省略じゃなくて未遂で終わらせればいいのだなとプロットを修正。今の形に。


 とはいえ、未遂でも十分センシティブ判定される危険があったので、小説家になろうはアウト判定されそうだし、かといって最初の予定通りノクターンで出すには描写不足。そこで、作者のほとんどの作品はカクヨムとなろうのマルチ投稿だけど本作はカクヨムのみに。

 ちんちんを出さなければなんとかなったかもしれないが。


 作者の男女比偏重ものの原典は早川書房から出た

 『ようこそ女たちの王国へ』(ウェン・スペンサー/赤尾 秀子:訳)

 中世~近世のヨーロッパ相当の文化文明の世界が舞台で、男女比は1:10から1:20くらいかな。

 田舎の純朴な少年が王国の王女様姉妹に見初められ、王家を巡る陰謀に巻き込まれながらも王配の座につくまでの物語。出会って速攻で王女様に押し倒されちゃう総受け愛され系主人公。

 男は家の管理下にあり、扱いはその家や長姉次第だけど、良くても政略結婚や金稼ぎの駒。酷ければ牛や馬と同じ動産扱い。1対1の肉体勝負であれば男の方が有利。その辺りの設定は王国から本作へそのまま流用。


 佳川天音よしかわあまねの名前もそちらの主人公名ジェリンに由来しています。


 本作ラストで天音が武術の心得があるように言っていますが、そこは前世の経験。今世では男の武術はかなり制限されています。さらにはスポーツも軽いものは美容目的で推奨されますが、ガチなのは白眼視されます。スポンサーもつかないし予算や場所の確保も難しい。

 男女逆転で男は肌をさらすなという風潮があるとかではなくて、ただでさえ筋肉の有利がある男が身体を鍛えると妻姉妹に反抗するようになるからです。

 この辺は詰めるとあまりいいことになりそうにない。

 気が強いと婚家から苦情がくるから子どもの頃から力付くで躾けるとか、肉体の有利を消すために纏足みたいな風習が生まれるとかありそうなんだよな。普段から多数の妻で手を出してそうで怖い。

 夫の暴力は傷害罪ですが妻が行う暴力は躾。

 初夜なんて立場を分からせるために1対多数で押さえつけながらですよ。


 冒頭のビジネスマンはしゃぶらせろって叫んでたけど、禁忌破りの快感があるからって金はらってまでオーラルやりたがるのかは疑問。膣外射精に興奮するのはソドミーへの忌避感と需要が両立してるのが元ネタだから一応の根拠となるか。

 まあ本作のジャンルは現代ファンタジーにしてるから大丈夫。

 

 射精権を勝ち取った過去の偉人、真上さまというのは作者処女作

『バイト先は異世界転生斡旋業 ~えっ、スタッフにはチートも魔法も無いんですか!?~』

 の主人公、真上圭一のこと。

 主人公が様々な異世界を訪れるというお話で、第一話が1:30世界が舞台。主人公は地球からその世界に事故で転移した遭難者を救出にきていて、そこで現地住人に囚われていた遭難男性を救助。その過程で囮となって女性30人相手に立ち向かっていくというコメディでした。

 いわゆる雰囲気を掴んでもらうためのプロローグで、1:30世界はそこで終わっていますが、想定では後の方で男女比1:30世界のエピソードの続きを語る予定でした。

 襲い来る女性たちから仲間を逃すために圭一と相棒がその地に残ることになり、迎えがくるまで女性陣に囲われることになります。そこでオナニーしているところを見つかって、うるせーこれは男の権利なんだよ!って権利闘争するエピソード。

 だから現地住人の名前がオナニーマスターの登場人物に由来してたりしました。


 処女作はその後、バトルものにリメイクしてしまったので、もう書く余地はないと思い、それを過去の出来事として文明度を現代にまで進めた作品として企画したのが『男女比1:30世界のポルノ男優』。


 現在の処女作には男女比1:30世界のプロローグは削除しています。

 より正確に言うと、最初はそのプロローグはなくて、後から改稿して付け加えていました。当時小説家になろうで連載していてガチで読まれてなかった(10万文字で読者0)ので、これは前半が弱いからだろうと思い、改稿。男女比1:30世界を冒頭に持ってくれば読者の心をつかめるぞ、と思ったのです。

 結果的にはあまり効果はなかった。

 どころか後に読み速さんというサイトで晒し企画で当作を審査してもらったときに、むしろどういう話しなのか分かりづらくなるという指摘を受けることに。それで助言を元に大幅改稿した際に削除。

 もしかして男女比偏重ものってそこまで需要なかったのだろうか。いや、そんなことはなくてここまでキャッチーな題材を使っても読者をつかめなかった自分が悪いのですが。


 その1:30世界の話は処女作のバトルリメイク版の方に再掲しています。

『異世ばと! ※スーパーなろう大戦に作者オリキャラが参戦する話です』


 https://syosetu.org/novel/308175/


 これの第二話が該当話です。

 この世界が男女比1:30に偏るのは、受精時の性別を決定する精子のX・Y染色体の比率が偏っているからとしています。圭一はその設定に絡むギミックによって絶対に現地女性と肉体関係をもつことは出来なくて、そこでオナニーをせざるを得なかったというのが伏線として仕込まれています(転生者である天音には該当しません)。


 母姉妹、妻姉妹というのは子供は家単位で育てるから。家長である長姉とその妹たちが一緒に暮らし、男を共有し、生まれた子供を皆で育てます。ここもようこそ女たちの王国への設定を拝借。家屋はどうなってるんだろうかとかは知らない。

 娘世代に婿を取ろうとすると、希少な男を他家と取り引きしなければなりません。それには自家の男の子を交換か売りに出すか一家の皆で支度金を用意する必要があります。なので結婚は家単位でないとまずありえない。

 自由恋愛はままあるけど、婿に迎えられるかは双家の長姉の許可が必要。それに男はまず愛する人の姉妹全員を込みで奉仕しないといけない。真に愛する人だけ日数を増やすとかは認められません。この辺はエロ漫画みたいな妄想が広がりますね。

 末の妹の愛する男をよってたかってなぶり尽くす意地悪な姉たち。残念だったねえ、あんたの男は私らの身体の方が好みなんだってさ。あんたに出す分の種はもう残っていないってさ。ガハハ。 


 天音は将来ポルノ俳優として稼ぐのとアウトサイダーな立ち位置ゆえに自由に妻を選べるようになりますが、めちゃくちゃ社会的に反発されます。男女双方から。


 比率的に一家に一人は男が生まれるけど、全姉妹が子供を生んでも男がいないときは婿の責任とされます。


 有史以来男女比が偏ってるならその関係や立場を表す言葉や漢字が出来上がってるだろうけど、考案できずに母+姉妹のような単純につなげた形に。

 

 天音の家が健康食品の卸売をしているというのは最初、ミツバチがどうのとかいう語りがあった名残。

 女性からすると生物界のファミリー構成を見てライオンとか猿みたいなオスのボス1:メス多数よりも、ミツバチのような多数のメスとそれを率いる女王:少数のオスの構成の方が自然に思える。

 栄養価と甘味もあって、はちみつはこの世界では古来から最上位の食材の扱いです。


 ツイッターでパパ活ギャルがパパ活の最中に早く終われよおっさんと思いながらスマホを弄ってるイラストがよく流れてきますが(弊TL)、これを1:30世界に流用できるのではないかというのが本作の着想の一つ。

 転生ジャンルの男女比偏重ものは、男が大事にされて、むしろ増長している世界で、転生主人公が現代日本の価値観で女性に優しくして感激されるというタイプが多いですが。そこでよく愛のない義務感のセックスをする現地男性が比較対象として出てきます。

 パパ活ギャルのごとくに、いっそそちらの現地男性を描写した方が面白いのでは。そもそも今は天職だとばかりに愛を振りまいてる主人公もさすがに10年くらいしたら枯れてくるだろ。

 そういう時の、ついに私の番が来たぞイカせてやるからなテメエとばかりに興奮している女性と冷めてる男の対比。これはクルね、と思って書き出して最終的に今の形になりました。


 将来、本作のノクターン版を執筆しましたら、そういう無気力にスマホを弄る天音と必死にテクニックを駆使するも如何せん経験値がなさすぎてスルーされるスーツのお姉さんのエピソードを追加していきたいですね(書きません)。


※本作のR18版をノクターンで公開しました。

 本作に加筆したもので、冒頭のお姉さんとのパパ活エピソードは現在の所はありません。

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男女比1:30世界でパパ活男子やってます 笠本 @kasamoto

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