「初恋」と聞いて、どんな感情が芽生えますか? 甘酸っぱさ? 苦い思い出? 切なさ炸裂? 大抵は実らずに終わる(※個人の感想です)青春の1ページといったところでしょうか。
本作の主人公の「初恋」の相手は、王家に仕えるエルフの女剣士。王家を継ぐ重責への反発が、父との相克が、そして何としても彼女との初恋を成就させたい主人公の奮闘ぶりが、静かで丁寧な筆致で描かれます。
恋の行方については、ここでは触れません。ただ、私は主人公を応援したくなったとだけ述べておきます。
ありきたりな純愛物では物足りないという方、ファンタジー世界ならではの恋愛物語を読みたいという方にお勧めです。覚悟を決めて、ページをめくってください!
この作品は恋愛小説にして父と子の物語でもあります。
亡き母との関係でこじれてしまった複雑な親子関係。
しかし、それを辛うじて繋ぐのが両者の剣術指南役であった女性エルフ。
親子が共に愛した(私にはそう感じられました)ダークエルフであれど、永遠の存在と定命の者が、ましてや王族が結ばれるのは本当に難しく。
自分が挫けた道を行く王子を見守る父の目はどこか優しさがあったのです。
真に恋と父の背中は夢見る男子を成長させるもの。
ここにあるのは、恋のジレンマ、国と政、高貴なる義務。
そしてあまりにも高嶺の花である「永劫の美」に惚れてしまった貴方へ、おススメです。
主人公はとある国の王子。そしてそんな彼に日々剣術の指導をする…黒薔薇の剣姫こと、ネイローザ。
彼女は≪欠損の対価≫といって、何かしらの欠損の対価として膨大な魔力を得るという"邪神の加護"を受けた黒エルフ。
その美しさや優しさなどに王子は思いを寄せているのですが、そんな彼にある日隣国からの縁談が舞い込む。
相手は何とまだ齢9歳!誰から見ても政略結婚であるのは明らか。
しかし、そんなことよりも結婚してしまったらネイローザさんと結ばれる夢が叶わなくなってしまいます。
当然王子はあの手この手で拒もうとするのですが…何処までも"王"である父に不満なれど理解できてしまう正論で返されてしまいます。
王子とただの男の狭間で揺れ動く、切ない恋心の行方は…!
一度読んだら、もう止められません!続きが気になること請け合いです!
綺麗な薔薇には棘がある。
しかし棘のない薔薇は、他の花となにが違う──
剣を握る彼女は、一国の王子の心を掴んで離さない。
"黒薔薇の剣姫"の異名を誇る黒のエルフ、ネイローザ。
成長を欠き、齢に合わない少女の見た目をした彼女は、まさに天上の美麗そのもの。
王子が触れようにも、彼女を構成するものそのどれもが試練の棘として返しの機能を果たしていく。
当然だ。棘に、刀身に、直に触れればどうなるか、想像ができないのなら目がくらんでいる。
でも、だからこそ。惹かれてしまうのだろう……
合理主義の国王を嫌う王子が、自分に剣を教える女性に恋した物語。
恋は盲目。目が見えずに棘に近寄るのは危険です、王子。