エピローグ

関川からの手紙

 ハーフ&ハーフも四回目を無事終えました。

 一年に一度の、まぁ個人的にはお祭りですね、今年も楽しませていただきました。これもひとえに参加してくれた書き手の人たち、読んでくれた読み手の方たち、無茶ぶりにも関わらずお題を作ってくれた方々のおかげです。

 そういうすべてがあって、ハーフ&ハーフは楽しい創作の場になったことと思います。改めて皆様に感謝の気持ちをお伝えいたします。


 今回のハーフのテーマは『手紙~レター~』でした。まぁテーマでしりとりしてた要因もありますが、なによりハーフ、半分、というコンセプトにまさにぴったりだと思ったのが理由です。往信が半分、返信が半分、それがそろってひとつの物語になるんじゃないか、そんなことを思ったのです。


 またハーフ&ハーフにはもう一つの目的があります。それは一人ではできない執筆経験、創作のお手伝いというものです。これまでは私の方でお題パートをつくってましたが、今回は常連さんに頼んで出題パートを書いてもらいました。私も書きながら思ったのですが、この出題パートにはテーマ、文体、キャラクターと出題者さまの個性にあふれた、見事にバラバラな手紙が集まりました(笑)


 当然といえば当然なのでしょうが、それがすごく新鮮でした。自分一人では考えもつかないような物語とキャラクター、そこに返信を書くには想像力をありったけ働かせなきゃならなかった。これは大変だったけれど、とにかく面白かった! 厳密にはすごく興味深い体験だったなと、そう思いました。


 こんな風にみんなで同じ手紙に向き合いながらも、返信の内容がまた見事にバラバラになったのも面白かった。そこにはやっぱり書き手さんの個性というか、芯みたいなものが現れたのが読んでいて楽しかった。そのうえで知っている作家さんの新しい一面を見せてもらいました。

 同じ素材で料理したはずなのに、出来上がった料理はまるで違う、そこにはシェフの個性が味わいとしてしっかり残っている、そんな感じですね。


 こんな風に創作を楽しめるのは、もちろんカクヨムという空間のおかげです。私たちが出会ったのも、こうして交流を楽しめるのも、そういう場を作ってくれた人がいるからです。改めて感謝です。


 そしてなにより大事なのは、参加してくれたみんなのおかげです。創作を一緒に楽しもう、そんな気持ちがいろんなところから伝わってきました。コメントもそう、ノートもそう、作り上げた返信もそう。読み手として参加してくれた方のコメントの数々や応援マークもそうです。そういうものが創作を頑張ろう、楽しもう、そんなことにつながっていくのだと思います。


 わたしはそんなあなたたちと知り合えて、こうして一緒にハーフ&ハーフを楽しんでくれたこと、そのことがすごくうれしい。なんか幸せで涙が不意に滲んじゃう感覚です、わかりますかね? いい仲間たちに恵まれたなと、その奇跡と幸運を感じております。


 ちょっと手紙が長くなってきたけれど、もう少しだけ。


 今回の手紙というテーマで書いてきて思ったことがもう一つ。

 

 手紙ってかなり廃れてきました。今や通信手段はほとんどメールとかショートメール、ラインなんかに変わっています。仕事はもちろん、私生活もそうですね。年賀状もすでに絶滅危惧種になって、ますます手紙を書く機会はなくなりつつあります。


 悠木さんのお題の時に思ったのですが、メールと手紙の決定的な違いって何だろうと。端的に言うなら、メールってのはやっぱり連絡事項でしかないだろうと。一方的で事務的な連絡、そんな気がしてくるのです。なんかそこには書き手のというかみたいなものが欠落している気がするのです。


 同時に自作で返信を書いていた時には、そのキャラクターの心情を強く意識していました。そこにはやっぱり、そんなことを感じながら返信を創作していました。


 なんか手紙っていいものだったな、と改めて思った次第です。同時に時代が進むにつれて、なんかその心みたいなものが、無駄を削ぎ落していった過程の中で一緒に捨てられていくのではないかな、なんて思いました。


 第一回目のハーフから考えると、四年の月日が流れました。その間にはコロナの流行があったり、戦争があったり、大きな地震があったり、苦しく悲しい時代を通過してきています。そういう苦しみの時代は今も続いているし、これからもきっと続くんだろうと思います。そんな流れの中で、人の思考様式も無駄を削ぎ落し、より効率的に、システマチックになるよう移行しているように感じます。時間もお金もとにかく無駄のないように、という流れはみんなも感じているんじゃないかなと。


 そういう意味では物語の創作もそんな流れの中に呑み込まれていくと思います。ギターソロはいらないからサビだけが聞きたい、みたいな。捨て曲ばっかりのアルバムを通して聴くのは時間の無駄、みたいな。サブスクのおかけで音楽はタダみたいな値段で、無限に探して聴ける時代ですからね。


 無駄を削ぎ落していった先に待つのはどんな世界なんだろう?

 それは人の心や生活を幸せにするんだろうか?

 そんなことを気にするのは歳取ったせいなんだろうか?


 なんて、いろいろと今も考えてます。


 とりとめのない手紙になりましたが、それもまた手紙の面白いところ。


 最後にもう一度だけみなさんに感謝の気持ちを。


 一緒に遊んでくれてありがとう! とっても楽しかった!



 関川二尋より



 追伸

 ハーフ&ハーフ、一応第五回目のテーマも考えております。

 シリトリつながりで『ターニングポイント』が次のテーマです。

 希望があれば開催します。

 そして第五回をもって、ハーフ企画は終了します!

 

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ハーフ&ハーフ4 関川 二尋 @runner_garden

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