第三回 ラドムVIS

生産国:ポーランド

使用弾薬:9mmパラベラム

装弾数:8+1


作中の初出:第九章 喜劇の幕が降りるとき

https://kakuyomu.jp/works/16817330648896714667/episodes/16818093074066810551




 正式名称は「FB RADOM VIS wz.35」という長い名前で、FBは社名、RADOMはFB社の所在地であるポーランドの都市、VISが銃の名前、wz.35は1935年にポーランド軍に制式採用された拳銃という意味があります


 ポーランドは第二次世界大戦中にナチスドイツによって占領され、ドイツ軍ではP35(p)と名付けられました。


 ドイツの占領下では過度な要求による粗製濫造と職 人のサボタージュによって、品質は下がったようです


 見分け方は簡単で、ポーランド侵攻以前に作られたものはポーランドの国章「王冠を被った鷲」が刻まれていますが、ドイツ占領下で作られたものにはそれがありません


 ポーランド時代の製品は仕上げが丁寧で美しく、また現存する数も少ないことからプレミア価格がついているようです


【特徴】

 この銃の最大の特徴はシングルアクションの自動拳銃でありながらサムセイフティがなく、代わりにデコッキングレバー(ダブルアクションオートに多い)が備わっていることです


 大戦前のポーランド軍は精強な騎兵で知られおり、騎兵が馬上で手綱を握りながら戦うことを考慮して片手で拳銃の操作を完結するようにしたのではないかと言われていますね


 それ以外の 安全装置としては、グリップの背の部分にグリップセイフティがついています


 ちなみにもう1つ安全装置っぽいレバーがついているのですが、こちらはメンテナンスをするときに分解操作するためのレバーです


【作中の描写】

 『人殺しのエヴィス』では伯父ベスニクの友人であり、ベスニクと並ぶ組織の大物であるダーダンが愛用しています


 文章の中でポーランドの国章に言及している通り、これはナチス侵攻前に作られたプレミア品になります


 ダーダンは車も葉巻もスーツも全て一流の物を好む洒落者ですから、銃にも彼のそうした美意識が反映されていますね

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