第二回 ザスタバ 10mmオート

生産国:ユーゴスラビア(セルビア)

使用弾薬:10mmオート

装弾数:8+1


作中の初出:第六章 ある売人の死

https://kakuyomu.jp/works/16817330648896714667/episodes/16817330665188994987




 旧ユーゴスラビア(現セルビア)の国営軍事企業であるザスタバアームズ(Zastava Arms)が作った拳銃で、ソースによってM93、P10、Z10などと呼び方がばらつく、とにかく不明な点が多い銃です


 これは東欧の銃にはよくあることで、


・社会主義政権の国営企業時代と自由経済移行による民営化で名前が変わった


・地元で売るときとアメリカ市場へ輸出するときで名前を変えている


・実際には銃の名前ではない、何らかの理由で刻まれた記号が間違って銃の名前として広まっている


と言ったような事情があったりします


 作中では「ザスタバの10mmオート」と曖昧な書き方になっていますが、これは残念ながらこの辺の詳しい事情まで調べきれなかったためです


 筆者が不勉強なだけかもしれませんが、この銃の情報は非常に少ないですね


【特徴】

 基本的にはトカレフをモデルとした銃で、安全装置がないところや撃鉄の形は本家を踏襲しています


 ただ強力な10mmオート弾を使うためにしっかりとした造りを意識したのか、スライドがトカレフよりも角ばっていて武骨な印象を受けますね


 また純正のグリップパネルには人間工学を意識した「フィンガーチャンネル」と呼ばれる窪みがつけられているのも特徴ですが、後述するように作中に出てくる個体ではこのグリップパネルは張り替えられています


【作中の描写】

 主人公の伯父ベスニクの愛銃として登場します


 作中の個体は独自のカスタムを施されたモデルで、グリップパネルを分厚くてフィンガーチャンネルのない平面的な物に貼り替え、


 トリガーガードも元々ついていたのを切り落とし、スペースを広く取った特製のものを溶接し直すカスタムを施しています


 2メートル近い体躯を持つ大男のベスニクは手も大きく、指も太く長く、それに合わせたカスタムです


 こうしたカスタムと、10mmオート弾を用いるが故に反動も強いこの拳銃を片手で難なく撃って正確無比な射撃をすることでベスニクの肉体的な強さや大きさを表現しました


 そして安全装置のないこの銃を、薬室に弾を入れてハーフコック(多くの拳銃は、撃鉄を半起こしにした状態のままでは引き金が引けない)という申し訳程度の安全対策だけして携帯する点は彼の狂気を孕んだ内面を表現しています


 その狂気の種類が絶対に暴発事故を起こさないという自信か自惚れか、それとも死を恐れていないのか……といったようなことは各々が感じ取って下さればよいかと思いますので、ここでは言及いたしません

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