『人殺しのエヴィス』登場銃器解説

バカモン

第一回 FÉG R61

生産国:ハンガリー

使用弾薬:9mmマカロフ

装弾数:6+1


作中の初出:第一章 灰色の山

https://kakuyomu.jp/works/16817330648896714667/episodes/16817330649948859815




 R61はワルサーPPKクローンの1つで、ハンガリーのFÉG(Fegyver-és Gépgyár)という企業が作りました。フォルムはほとんど同じで、色違いのPPKという

印象を受けますね


 ただしPPKをそのままコピーした訳ではなく、随所に独自の特徴が見られます




【特徴】

1・独自の安全機構

 R61にはPPKには存在しなかった擊針の安全機構が追加されていて、暴発のリスクがより低くなっていました。約30年後発の銃であることの強みでしょう



2・ソ連のマカロフ拳銃と同じ9mm×18mmの弾薬を使う

 冷戦時代の東側諸国はこぞってこの弾薬を使う拳銃を開発しましたが、その中でもPPKベースのR61は最小の部類に入る物でした

(西側輸出用に380ACP仕様に改造されたR61もあったようですが、作中のはマカロフ弾モデルになります)



3・アルミ合金のフレームによる軽量化

 元々FÉGはRK59というアルミニウム100%のフレームを使ったPPKクローンを作ったことがあり、これによりPPKから100g前後の軽量化を成し遂げました


 しかしRK59には残念ながら強度不足の報告が寄せられました。そこでアルミニウムにチタニウムを混ぜた合金を使うことにしたのがR61です




【欠点】

1・反動が強い

 上記の特徴の裏返しになってしまうのですが、実際に撃った海外ガンオーナーのレビューを読み漁ると反動が非常に強くて「手が痛い」という感想が見られます


 そもそも現代で主流のショートリコイル式の自動拳銃に慣れきったガンオーナーにとっては、この銃のように古典的なストレートブローバック方式は反動が強く感じる傾向があるようです


 元々32ACP弾を撃つために設計されたPPKでは、後から生産された380ACPモデルでも「強すぎる」という感想が多々あり、いわんやそれよりも更に軽くして弾を強力にしたR61ともなれば押して知るべしと言ったところでしょうか


2・スライドの引き心地が固い

 これはインスパイア元のPPKでもよく言われているのですが、リコイルスプリングが固くてスライドを引き薬室に弾を送り込む作業に少し手こずりやすいみたいですね


 ストレートブローバックの銃は概して強めのリコイルスプリングを組み込む傾向があるようです



【作中の描写】

 『人殺しのエヴィス』では、主人公エヴィスの愛銃として第一章から出てくる「看板」の銃です

 

 良い部分も悪い部分も、エヴィスの手や目を通じた体感として表現できたかと思います


 逆にこの銃の最大の特徴である「ワルサーPPKのクローンである」という部分には実は作中で一度も言及していないのですが、これはエヴィスが本家PPKを知らないまま先にR61を手に取り、その後も知らないままであることから意図的に省きました

 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『人殺しのエヴィス』登場銃器解説 バカモン @bakamon

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ