七日目 最後は自分で選び取る

 学校が終わってすぐの診察室で、僕は笑った。

「どう生きるか、じゃなくて、僕の場合は、どう死ぬか、ですよね」

 自嘲でも自虐でもなく、僕はただの事実としてそれを伝えた。

「それは同じことだよ。どう生きたかで死に様が決まる」

 小説の一節みたいだ。

 でも、それなら僕は、最期くらいは望む通りに静かに安らかに死ねるだろうか。

 不安は尽きない。

 それでも、敵を見据えて死ねるなら、僕は自分を誇りに思える。


「僕は、自分で選び取った。だからもう、悔いはないです」

 体の不調に気づいてから、一番軽やかに笑えた。

 僕は一人で死んでいく。

 届かないものもあるけれど、今できる限りのことをやって、それで少しでも満たされるなら、それでいい。

 何もできない自分に絶望するよりは、ずっといい。


 僕の未来は無限ではないし、閉ざされる。

 でも、絶望ばかりじゃない。

 僕が最後に見る景色は、どんなものだろうか。

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一人、黄泉路へ向かう 染井雪乃 @yukino_somei

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