エピローグ ふたりのために
「フランもおいでよ!」
ようやくできたベッドに犬の姿で飛び乗り、ノエルがフランを呼んだ。
「壊れちゃうよ」
あまりの勢いに戸惑うフランに、大丈夫だと頷く。
私とノエルを見比べ、そろりとベッドに腰掛けて。感触を確かめるように手で触れたあと、ようやく安心したのか猫の姿になる。
暫くその場で沈み込む足の様子を気にしていたが、やがてくるりと丸くなった。
「今日からここで寝るんだよ」
元の姿で寝るふたりなら一台のベッドで広さは十分。
これからノエルが大きくなったとしても狭くはないだろうし、私が死んだあとに一台空くのもわかっている。
「はぁい!」
嬉しそうなノエルの声。
フランは少しうとうととし始めている。
「気に入ってくれてよかった」
これで家の中にふたりが休む場所ができた。
もちろんまだまだ必要なものはあるが、こうしてひとつずつ増やしていけばいい。
ここがふたりにとって安住の地となるように。私にできることをしていこう。
夜、ふたりが寝付くのを待ってから外へと出た。
星空を見上げながら、先に逝った妻子を想う。
本当はすぐにでも追いたかった。だが今となっては、たとえどんなに無様でも生きながらえてよかったと思う。
私に再び生きていく意味を取り戻してくれたふたりのために。
残り短い命、精一杯ここで生きていこうと誓った。
あなたが遺してくれたもの 古都池 鴨 @kamo-to-moka
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
参加中のコンテスト・自主企画
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます